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2014年 安倍政権の経済財政運営の課題

2014年1月3日 22:32

 持続的な経済成長と財政再建の両立はできるのか。安倍政権2年目の経済財政運営、課題を乗り越える鍵を考える。

 安倍政権は、発足と同時に「アベノミクス」のキャッチフレーズの下、「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」の「3本の矢」を柱に、経済再生と財政再建の両立を最優先課題に掲げてきた。その効果は徐々に表れ、2013年の末に日経平均株価は1万6000円台に乗せ、2013年12月の月例経済報告では約4年ぶりに「デフレ」の文字が消えた。このことからも、第1、第2の矢には一定の成果があったと言えるだろう。

 政府は2014年度の経済見通しについて、実質GDP(=国内総生産)がプラス1.4%、名目GDPがプラス3.3%との予測を発表した。政府は消費税率引き上げの経済への影響について、補正予算による経済対策などの効果が見込まれることから、影響は限定的とみている。

 日本経済の先行きを考えた時、重要なのは、補正予算による公共事業など財政出動の効果が終わった後も、持続的に日本経済を成長軌道に乗せることができるかどうかだ。アベノミクス1年目は、日経平均株価が50%以上も上昇し、景気が順調に回復しているが、財政再建は遅々として進んでいないのが現状だ。2014年は、年末に消費税率を10%に引き上げるかどうかの判断を迫られる。

 1000兆円を超える公的債務を抱え、財政健全化は待ったなしだが、ここで再び景気が冷え込めば、これまでの財政出動が水の泡になる恐れもある。それまでに景気の好循環が始まることが不可欠だが、その鍵を握るのは第3の矢である成長戦略の成果にかかっている。これまでに打ち出された成長戦略は、経済界から「どの政策も小粒だ」と指摘されていて、日本社会を抜本的に変えるような大胆な改革には至っていないのが現状だ。

 政府は2014年6月をメドに、成長戦略をさらに進化させるとしている。生産年齢人口が年率0.9%程度減少する現状を踏まえ、経済財政諮問会議の民間有識者は、少子高齢化を前提にしていない現在の社会保障制度など国の制度の見直しを提言している。橋や道路などインフラの補修、災害対策への財政出動を行っても建設業に人が足りず、入札が不調になって事業が進まない事態にも直面している。

 政府の有識者会議は、グローバル化が進む世界経済の中でアベノミクスを中長期的な発展に結びつけるためには、安価で安定的なエネルギー供給や外国人材の受け入れなど、国の在り方に関わる課題への取り組みが必要だと指摘している。

 日本が持続的な成長と財政再建の両立を果たすためには、今後、大きな痛みが伴う政治的決断と大胆な行動力が求められる。2014年は、アベノミクスの真価が試される年になる。