財政再建策、賛成・反対がきっ抗 ギリシャ
財政破綻の危機にひんしているギリシャで5日、EU(=ヨーロッパ連合)側が求める財政再建策を受け入れるかどうかを問う国民投票が行われる。世論調査では賛成・反対がきっ抗しており、国は真っ二つに割れている。
反対派は3日夜、首都・アテネの中心部で数万人規模の集会を開いた。チプラス首相は国民投票で「反対」が上回れば、EUなどから有利な条件で支援を得られ、ユーロ圏にもとどまれると主張した。
チプラス首相「国民投票はヨーロッパに残るかどうかの判断ではない。尊厳を持ってヨーロッパの中で生きていくかどうかを問われている」
首相を支持するのは、すでに実施されている財政緊縮策の影響で、年金の支給額を削られたり、職が見つからなかったりする人が中心。34歳のイリアス・サミオティスさんも4年間職がない状態で、緊縮策がこれ以上厳しくなれば、生きていけないと主張する。
反対派・イリアスさん「お金が必要です。(反対多数で)何が起きるか分からないが、状況が改善される希望はあります」
一方、賛成派の主な支持層は、ビジネス界や中流階級以上の人たち。預金の引き出し制限や資本規制が導入されたことで、「反対多数となればEUやユーロ圏にとどまれず、経済がさらに悪化する」と危機感を強めている。
賛成派・土産物店の店員「(仕入れ先への)支払いが全くできない。ユーロ圏という共通の市場に残った方がいいと思う」
3日に発表された世論調査では、いずれも賛成・反対の支持率がきっ抗し、まさに国を二分した状態になっている。「反対」が上回れば、ユーロ圏からの離脱が現実味を帯び、世界経済に大きな影響を与えかねないだけに、世界は固唾をのんで投票の行方を見つめている。