【春闘】大手は満額回答相次ぐ…初任給“賃上げ合戦”の様相も 中小では福利厚生で「第3の賃上げ」拡大
春闘の集中回答日となる12日、大手企業からは満額回答が相次ぎました。一方、中小企業などでは定期昇給やベースアップではない「第3の賃上げ」が広がっています。
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並木雲楓フィールドキャスター
「賃上げの実感はあるのでしょうか。街の人に聞いてみました」
──賃上げの実感は?
教育関係(32)
「(月の給料が)1年ごとに1万円ちょっとは上がるので、年間通すとまあまあ」
──どれくらい上がってほしい?
教育関係(32)
「そうですね」
妻
「50万円」
教育関係(32)
「それは上がりすぎ」
妻
「でもおコメとか高いし」
教育関係(32)
「まあまあ…」
──賃上げの実感は?
弁護士事務所勤務(26)
「上がったのは数万円。ボーナスもゼロから有りにはなった」
12日に迎えた、春闘の集中回答日。トヨタ自動車は、5年連続の満額回答となるなど、大企業では6%を超える賃上げも目立つ結果となりました。こうしたなか、今年、特に大企業が力を入れるのが「初任給」の賃上げです。ユニクロを展開するファーストリテイリングは、初任給を1割増額し33万円。不動産大手のオープンハウスグループは3万円引き上げ、36万円にするなど“賃上げ合戦”の様相に。
──初任給で36万円もらえる会社もあるそうですが、どう思いますか?
建築関係(31)
「率直に言うとうらやましいですね。(自分は)新入社員の頃、手取りで15万とか。(まだ)何もできない状態でそんなにもらえるのはシンプルにうらやましい」
会社員(50代)
「若い人だけじゃなくて、年齢が上の人にも考慮してほしい」
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一方、働き手の7割が勤める中小企業では、大幅に賃上げする余裕のない企業も数多くあります。こうしたなか、月給アップ以外の方法で従業員の生活を支える企業も。
従業員約20人の、都内のゲーム制作会社を訪ねると…
シフォン 長谷川友也社長
「コーヒー、ジュース、プロテイン、栄養ドリンクまで、このへんは従業員が普段の仕事中に飲むことができるようになっています」
ドリンクは、無料で飲み放題。また、社内にジムを設置し、トレーナーによるパーソナルトレーニングも無料で受けられるといいます。お昼ごはんを買いに行くという従業員についていくと…。
──食事はどのように?
サービスを利用する中小企業の従業員
「『チケットレストラン』で購入しました」
支払いに使っていたのは、「チケットレストラン」というサービスのカード。毎月、会社と従業員が半額ずつ負担して電子マネーをチャージするもので、コンビニや飲食店など加盟店で利用可能。つまり、会社の支援で食事代の負担が半分になるのです。
サービスを利用する中小企業の従業員
「食費や細かい出費を抑えられるので、その分、自分で好きに使えるお金は確実に増えていると思う」
こうした福利厚生が、定期昇給とベースアップに次ぐ“第3の賃上げ”として注目されています。
“第3の賃上げ”は従業員に対し直接、賃上げするのではなく、福利厚生を充実させることで出費を減らし、実質的に“手取り”を増やす取り組み。たとえば、家賃補助などの住宅手当、ベビーシッターを利用しやすくする補助制度などを福利厚生として提供している企業もあります。
いかに従業員の手取りを増やすかが、経済を上向きにするカギとなりそうです。
(3月12日放送『news zero』より)