GPT-4o、Veo……“驚異の進化”AIで何が? 専門家「命令文ひとつであり得ない映像も」 フェイクへの対応は?【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「AI脅威の進化 怖さは?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●人と“ほぼ同じ”探し物も…
●フェイク情報 より広がる?
「AIが得意な人も不得意な人もいますが、AIの方は人にどんどん近づいてきたんです。新たにこんなことができるようになる、と相次いで発表がありました。AIといえば怖さもあります。さらに進化したAIにどんな怖さがあるのでしょうか」
「アメリカ企業のオープンAIが13日、新たなAIモデル『GPT-4o』を発表しました。ウリは、人が話したことにすぐに反応して会話できることです。デモの様子を見てみましょう」
──今ステージで実演していて少し緊張しているんだ。落ち着かせてほしい。
GPT-4o
「実演中なの? すごい! 深呼吸してみて」
──何回か深呼吸してみるよ。
チャット GPT-4o
「ワオ! マーク、あなたは掃除機じゃないでしょ」
──君(チャット GPT-4o)の優秀さを披露できてとてもいい気分だ。
チャットGPT-4o
「やめて、照れちゃうよ」
森圭介アナウンサー
「冗談も通じるんですね」
桐谷美玲キャスター
「本当に自然ですし、人間と話しているのかなと思いますよね」
小野解説委員
「この最新のGPT-4oでは、外国語の会話ができます。情報の処理速度が大幅に速くなり、日本語を含む50の言語に対応。音声でも文字でも瞬時に認識します。例えば日本語とスペイン語をAIが逐次通訳してくれ、日本人がスペイン語を使う人と普通に会話できます」
鈴江奈々アナウンサー
「日本語を習得するのは外国の方からするとすごくハードルが高い、日本語の壁はありました。今も街中を見ていると翻訳アプリを使いながら旅行している方はいらっしゃいますが、もっとスムーズにコミュニケーションができるようになるということですよね」
小野解説委員
「AIの開発競争は激しいので、オープンAIの発表の翌日、IT大手グーグルもAIの最新モデル『Veo(ベオ)』を発表しました。文章を入力すると、それに応じてフルハイビジョンの動画を生成します」
「例えば『多くの斑点があるクラゲが水中を泳いでいる。彼らの体は透明で深海で光る』と入力すると、リアルな映像ができます。長さ約1分の動画が自動で生成されます」
森アナウンサー
「これを撮影しようと思ったら機材も買って編集もして、となりますし、そもそもこのクラゲが本当に実在しているのかも分からないわけじゃないですか。こういったものを文章だけで作れるということですね」
小野解説委員
「そうです。AIが生み出した映像です。文章を打ち込んで動画を作成するのはこれまでもあったんですが、1分を超えるような極めて高画質な動画を作れるようになったというのがウリです」
「この技術は今はまだ一部の映画関係者らのみに提供されていますが、そのうち一般の人も入手できる技術になるかもしれませんよね。そうなると、動画投稿サイトなどにこうしたショート動画があふれるかもしれません」
小野解説委員
「これだけではありません。グーグルが同時に発表した技術に、スマホのカメラに映ったものをAIが感知して、それをもとにAIが教えてくれるという『プロジェクトアストラ』があります。机の上や窓の外の景色にカメラを向けた実際のやりとりを見てみましょう」
──音を出すものはある?
AI
「スピーカーがあるよ」
──私は今どこにいると思う?
AI
「ロンドンのキングス・クロスエリアだと思う」
──私のめがね、どこかな?
AI
「めがねは、机の上のりんごの近くにあるよ」
小野解説委員
「『今どこにいる?』と聞いたら、カメラに映った景色からAIが瞬時に教えてくれるというわけです。『めがねはどこにある?』と聞いたら、人が見落としていたとしてもAIは映った景色を記憶していて、あそこにあったと教えてくれます」
桐谷キャスター
「私は結構、何をどこに置いたか忘れちゃうことがあるんで、AI が教えてくれるかもしれないということですよね」
森アナウンサー
「ずっと撮影しておけば大丈夫なんですね。すごい時代だな…」
小野解説委員
「チャット GPT などの生成 AI を使っている人はいますか?」
森アナウンサー
「私は結構使っています。英会話の勉強で、普通に英語をしゃべると返してくれるんです。速すぎて『もうちょっとゆっくりしゃべって』と言うと、ゆっくりしゃべってくれます」
河出奈都美アナウンサー
「そこまで高度な使い方ではないんですけれども、文章の添削やリサーチをする時にはかなり便利ですね」
「さまざまな分野で使われ始めています。神奈川・横須賀市が4月から公開している動画があります。上地克明市長が、流ちょうな英語で『4月からの2つの新たな取り組みについてお話しします』と語っていますが、実際にしゃべっているわけではありません」
河出アナウンサー
「口元の動きもかなり(リアルです)」
小野解説委員
「生成AIの技術で作られた動画です。横須賀市は外国籍の人も多くいるため、定例会見の英語バージョンをAIで作り、公開しているんです」
小野解説委員
「横須賀市役所では去年4月に対話型AIのチャットGPTを導入しました。現在は約6割の職員が活用しているといいます。どんなふうに使っているのでしょうか。文章の作成・要約では1つの文章を高校生向けと小学生向けに作り分けています」
「業務のアドバイスでは、企画案を年代・性別などターゲットを絞ってそれに合わせたものをAIに出してもらい、最終的に職員が判断しています。さっそく最新のGPT4oに切り替えたところ、文章作成や回答などが速くなったといいます」
鈴江アナウンサー
「どの職場も人手不足が叫ばれていますから、業務を効率化してうまく活用できるといいことはありますよね」
小野解説委員
「一般の方の活用法としては、転職活動があります。転職サイトを運営する学情が4月に行った調査では、転職活動でチャットGPTを使用したことがあるという20代は12.4%いました」
「使い方としては『履歴書で適切な言い回しが分からない時に活用した』『自己PRのたたき台を作成してもらった』といった声があったそうです」
森アナウンサー
「たたき台だったらしょうがないかな、という感じですかね。そのままではちょっとダメですよ」
小野解説委員
「ただ、AI をめぐってはトラブルも起きています。進化するほど不安も出てきます」
「国立情報学研究所の越前功教授はAIを使った動画の作成について、『これまでだと元となる動画の一部をAIの技術で置き換えて作っていたのが、今後は命令文ひとつであり得ない映像を作れてしまう可能性がある』と話します」
「プーチン大統領が踊っているニセ動画が出回っていますが、今までは踊っている人の動画の素材がもともとあって、その顔をプーチン大統領に置き換えていました。それが新しい技術を使うと、『プーチン大統領が楽しそうに踊っている動画』と入力して作られます」
「越前教授は『著名人や政治家などの声を作って自然な会話をしたり、人をだますといったフェイク動画が出回る可能性がある』と言います」
桐谷キャスター
「フェイク動画はこれまでもありましたけど、もっと見分けがつかなくなってくる可能性があるということですか?」
小野解説委員
「そういうことです。さらに、高画質であることもいいことばかりではありません」
「越前教授によると、そもそも映像は注目されやすくインパクトを与えやすいため、高画質で長い映像だとより説得力を持ち、人が信じやすいです。その結果、本当かどうか分からない情報が出回って混とんとしてしまうといいます」
小野解説委員
「越前教授は、作る側は『これはAIによって作った』というラベルを明示することが大事で、見る側としては今のAIの技術でどういうことができるのか、それによる負の側面を知ることが大事だと指摘しています」
「技術の進歩は止められません。もちろん大いに活用したいですよね。そのための知恵を今、世界中で出し合っている状況です。大事な議論です」
(2024年5月15日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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