“利益につながらない”コメ農家の厳しい“現実” 担い手不足にコスト上昇
今週も最高値を更新したコメの価格ですが、生産するコメ農家は「価格が上がっても利益につながっていない」といいます。日本の多くのコメ農家が直面している、厳しい現実を取材しました。
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28日、私たちが訪ねたのは、千葉県柏市の農場。
柏染谷農場 染谷茂さん
「種もみの消毒。消毒が終わったら水に浸して播種(はしゅ・種まき)する」
これから始まる田植えのシーズンを前に「苗」を作る準備をしていました。
今週発表された全国のスーパーでのコメ5キロあたりの平均価格は4172円と、最高値を更新。11週連続で値上がりしています。この値上がり解消へ期待されるのが「備蓄米」です。
江藤農水相
「(安いもので)3000円ほどであれば、だいぶ値頃感はあるので目詰まりが解消され、価格が安定する、落ち着くことを期待しています」
日本総合研究所・三輪泰史チーフスペシャリストによると「4月以降、5キロあたり100円や200円という規模かもしれないが、少しずつ安さを実感できる」との見通しも。
年間720トンのコメを生産しているという染谷さん。元々、1.5ヘクタールの田んぼから始めましたが、今では、150ヘクタールにも拡大していました。その背景にあったのが…。
柏染谷農場 染谷茂さん
「(農地を)借りてる農家も、譲ってくれて買った農地もある。合わせると農家の数が大体350軒。350軒の農家が農業をやめたんです」
その理由の一つが「高齢化」です。現在、農業を行う生産者の平均年齢は、69.2歳。そのうち「後継者がいない」と答えたコメの生産者は7割にも上るという調査も…。
柏染谷農場 染谷茂さん
「今どんどん若い人は農業していなくて高齢者だけ。日本の食糧まかなえるのかなと、そっちの心配が大きくなっている」
急激に減る農業の担い手。さらに、追い打ちをかけるのが「物価高」です。
柏染谷農場 染谷茂さん
「コメの値段が今まで上がってなかったでしょ、下がってた。それなのに機械がどんどん上がってる。肥料も上がっている。資材が上がっていて、生産コストが上がっているから採算とれない。そういうことが重なって、どんどん(農家を)やめていくのが現状」
コメの価格が上がっても、「生産コスト」も上がっているため利益につながらない。生産者は“ギリギリの状況”でコメ作りを続けています。