日本のキャッシュレス化、本当に進むのか?
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「日本でキャッシュレス進むか」――「週刊ダイヤモンド」の編集長・深澤献氏に聞いた。
経済産業省は今年4月に「キャッシュレス・ビジョン」を公表。7月には産・学・官による「キャッシュレス推進協議会」が設立された。「QRコード決済の標準化」や「キャッシュレス支払時のペーパーレス」などのプロジェクトをすすめることで、世界最高水準となるキャッシュレス決済率80%の実現を目標としている。
ネット上では「決済システムが多すぎる」「QRコードより電子マネーの方が便利」「スマホが無いと、もうお金を使えないのか」などの意見があった。
――フリップをお願いします。
「市場に任せろ!」と書きました。
――どういうことでしょう。
先日、仕事で中国・上海に行ってきました。上海は日本よりもキャッシュレス進んでいると聞いてましたが、実際にそうでした。中国のQRコードなんですけど、まさにさっき「スマホが無いと、もうお金を使えないのか」という意見が出ていましたけど、まさにその通りで、路地のお店でちょっとした果物も買えない、タクシーも配車アプリがないとつかまえられない感じです。
ただ、中国に口座を持ってないと、中国人がみんな使っているウィーチャットペイやアリペイみたいなアプリを使えないんですよ。外国人には本当に苦労する国になってました。なので、スマホがないとお金が使えなくなるのかというのは、ある程度日本でもそうなるんだと思います。逆にそうすると、キャッシュレスというのは進むんだろうなと思います。
ただ、日本でもQRコードを標準化して、それによってキャッシュレス化を進めるということですけど、日本の場合は交通系のカードありますよね。あと、電子マネーも普及しているので、そっちとどちらが便利なのかという戦いになってくると思うんですね。
過去、行政が業界標準規格を定めて、それを普及させようとしたときに、なかなか成功したケースというのがなくて、結局はいちばん便利なものが市場で勝っていく――世界的にもディファクトスタンダードが勝つというのは一番普及の早いやり方なので、結局、キャッシュレス化というのもその方向で進むのではと思います。
■深澤献氏プロフィル
ビジネス情報誌「週刊ダイヤモンド」の編集長。記者時代はITやネット業界などを長年担当し、現在はウェブ展開する「ダイヤモンド・オンライン」の編集長を兼任。紙とウェブ、双方の利点を生かし、ビジネスの最前線を独自の視点で発信している。
【the SOCIAL opinionsより】