クラウドファンディング市場、大幅拡大へ
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「クラウドファンディング、市場規模が大幅に拡大」。ミュージックセキュリティーズ代表・小松真実氏に聞いた。
矢野経済研究所が行った市場調査によると、2017年度の国内クラウドファンディング市場規模は、前の年度と比べて127.5%増の1700億円と推計。2018年度は2044億円の見込みとなる。法整備が進んだことや、地方自治体や様々な業種が新たに参入したこと、新たな資金調達として定着しつつあることが、市場拡大の要因として挙げられている。
ネット上では、「クラウドファンディングでは、面白い企画が多い」「少ない額で、お返しがもらえるのはいい」という意見の一方で、「出資するのは、まだためらいがある」といった意見がみられた。
――これについてどう思われますか。
クラウドファンディングの市場が広がっているのは、非常に望ましいことですが、やはり貸付型(ソーシャルレンディング)が9割ほどあります。これはローンを出すというかたちではあるので、そういう意味では銀行で行っているものと同じようなお金の出し方になります。
そういう意味で、クラウドファンディングらしい、例えば売り上げを前借りできるような仕組みとか、リスクをとってくれるファンド型が伸びていくということも、非常にこれから期待していきたいなと思っています。
――データを見ると、2018年度では、全体で約2000億円あるので、その1割でも200億円の市場規模はあると。
はい、非常にその部分でも伸びていると思います。
――それではフリップをお願いします。
『自分の思いをお金に託す。』――やはりクラウドファンディングの場合は、個人の人が共感をした事業に投資ができるということなので、自分が応援したいというところに、投資をしていただくことが重要なのかなと思います。
――その中で、小松さんがしている工夫はありますか。
成果に応じた分配があるのは非常に重要だと思っています。新しいことにチャレンジするとかいう場合は、失敗してもそれを許容してくれる資金がとても大事だと思っていますので、例えばお金を出して、何%が固定利回りで、借り入れたものを返すということだけではなくて、リスクを許容できる、個人からの資金というものが非常に重要だと思います。日本は個人金融資産が1800兆円程度あるといわれているので、そのようなお金が世界中に届くことによって、社会の課題解決というのが行われるかと思います。
■小松真実氏プロフィル
ミュージックセキュリティーズ代表。2000年にミュージックセキュリティーズを設立し、インターネットを活用した「アーティストと音楽ファンをつなぐ新しいビジネスモデル」を開発した。その後は、投資対象を酒蔵、農業などさまざまな分野に広げ、事業者と個人をつなぎ、お金と仲間を集めるインパクト投資プラットフォーム「セキュリテ」を開設。地元のNPOや民間企業、国の政策と連携した取り組みも多く、2013年度には世界経済フォーラムよりヤング・グローバル・リーダーズに選出された。現在、ファンド事業は「社会に価値を生むもの」に投資するサービスへと進化している。
【the SOCIAL opinionsより】