「老後2000万円問題」企業経営者は…
グーグルやアップルなど「GAFA」と呼ばれる世界の巨大IT企業とどう向き合うべきか、また、年金収入だけでは老後30年で2000万円が不足するという試算、いわゆる「老後2000万円問題」をどう見るか、経済同友会のメンバーである企業経営者らに意見を聞いた。
◇GAFAが台頭の中、日本は…
デジタルハーツホールディングス・玉塚元一社長「(人工知能などの分野で)量にしてもエンジニアの数にしても、いろいろな経験値にしても(GAFAと日本で)大きな開きがあるのは事実です。デジタルの領域だと今まで必要とされたのと違った意味でのスキル、集中力、発想が必要で、今までの日本の一般的な教育システムで成績が優秀な人が活躍するかというと必ずしもそうではない。もっともっと多様な人財が必要になってくる」
AGC・石村和彦会長「GAFAが強いから、日本もGAFAのビジネスやらないといけないかというと、僕は別だと思っていて、日本が強いところ(製造業)で、デジタライゼーション、AIと取り込んでいくのは当然大事だし、ビジネスモデルの変革を製造業もすすめる。そして強い差別化された技術や商品をもって、日本は継続的に戦うのが日本の最終的な勝つべき姿じゃないか」
ブイキューブ・間下直晃社長「GAFAと何を一緒にできるのか。逆にグローバルニッチをどう狙うのか、日本企業は考えていかないと。部品などは日本が強いわけですよね。モーターだったりとか、特別なある種ニッチ、特化した技術を持っていたりとか、(日本は)実績・経験がある。こういうところにしっかりフォーカスする方が、その分野では世界でナンバーワンの会社が集まっていく日本にする方が現実的」
GAFAと同じようなビジネスで対抗するのではなく、日本が秀でているものづくりの分野でデジタル化を進めて勝負していくべきといった指摘がされた。
◇老後2000万円問題について
一方、年金収入だけでは老後30年で2000万円が不足するという試算が反響を呼んだことについては…
三井住友銀行・宮田孝一会長「金融の世界にいますから、老後、個人の方がどう資産をつくるかが、私たちの分担分野。企業としては働き方改革。どうやって働きやすい環境つくるのか、雇用の長期化、処遇をどうあげるかも大事なこと」
オイシックス・ラ・大地 高島宏平社長「多くの60代の方がもっと働きたいと思っているし、長く働いたかたの方が健康寿命が長い。医療費を使わなくてすむと言っていいかと思います。しっかり企業側として(シニア人材を)コストにするんじゃなくて、リソースにする、競争力にしていくということが必要。60代、70代の人財含めた強い企業作りが求められている」
サントリーホールディングス・新浪剛史社長「底辺ではよくわかっている話を再確認しただけであって、ゆえにデフレの心理を脱却できていない。今後は安心社会をつくっていくため、子育て、老後の仕組みをどうつくっていくか。構造改革、規制緩和を活用することで社会保障を充実させる方法はある」
経営者たちからは、シニアになっても働けるような環境づくりが提案されると同時に、将来の不安の解決が必要との認識が示された。