“値上げの波”続く中で「値下げ&増量」 スーパー&コンビニの狙いは?
8月になっても値上げの波は止まりません。そうしたなか、あえて“値下げ”や“増量”に踏み切るスーパーやコンビニがあります。その狙いを取材しました。
埼玉・吉川市の「スーパーマルサン吉川店」。開店と同時に多くのお客さんが店内へ続々と入っていきます。
「チラシです。買い得商品ないかなと、ここへ来て(チラシを)見ながら、きょうの献立を考える」
求めていたのは特売品です。そのワケは…
「(物価高で)ずっと高騰で、全体的にちょっとずつ上がっている」
「特売のしか買えない」
長引く物価高を受け、激安スーパーには特売を求めて、多くのお客さんが訪れていました。
バーベキューのための買い出しをしていた3人組のお客さんは…
「いいんじゃない、681円だよ。同じだけど、見て。グラムで違うから」
「確かに」
「大事大事、できるだけ安く」
同じ会社のメンバー6人分の買い出しをするにも、値段を細かく確認する徹底ぶり。
「かなり買いました。6人で割ると(1人)約2000円なので、まぁいいかな」
ただ店では、様々な商品の仕入れ値が上昇。それでも赤字覚悟で特売を続けていました。
スーパーマルサン 齋藤元宏常務取締役
「(仕入れ値が上がると)普通なら売値も上げると、利益的には安定するわけですが、半分か3分の1程度しか(販売価格を)上げられない。値段を上げると、お客さんは購入しづらくなる。ひいては店に来なくなる。そういう可能性すらある」
客離れを心配し、値上げする商品を一部にとどめていました。
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8月も止まらない値上げの波。
ロッテは原材料の価格上昇などを受け、菓子類などを8月から順次値上げ。さらに、日清製粉ウェルナは家庭用のパスタや小麦粉など、ニップンは物流費や人件費の上昇などで家庭用のパスタを値上げします。
続く値上げに街の人からは…
「また値上がりだと、やっぱり落ち込みます」
「給料が上がらないから、値段上がるの困ります」
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そんななか、6日からコンビニ大手が全国で始めるのが、「40%増量作戦」です。
ファミリーマート・商品本部商品企画部 阿部大地さん
「人気の定番商品が40%増量。お値段そのまま」
値段を変えず、内容量をほぼ40%増やすというこのキャンペーンは、今年で4回目を迎え、これまで人気の高かった商品を選んだといいます。さらに今年は女性客の増加や暑さのニーズを狙い、アイスも追加。3週間にわたって全12種類の商品が“実質値下げ”されます。
ただ、値上げの波はこの先も止まりません。帝国データバンクによると、値上げラッシュは9月や10月も続きます。アイスや清涼飲料水などの値上げが相次ぐのです。
こうした状況にあえて“値下げ”を続けることに踏み切ったところも…
東武ストア・日配食品部長 高橋宏典さん
「昨年の8月から実施しているが、好評につき、今年の年末までは(値下げ)やってまいりたい」
季節に合わせ、毎月200種類ほどの商品を値下げしているスーパー「東武ストア」。値下げをした商品は去年と比べて約1.5倍の売り上げに。節約意識が高いなか、客のニーズが高い商品の値下げをすることで、集客を狙っていました。
東武ストア・日配食品部長 高橋宏典さん
「個人消費は物価高の影響で、まだまだ停滞傾向。頑張って毎日の暮らしに必要な商品を値下げして、よりよい暮らしに貢献していきたい」
お財布のひもがゆるむよう、企業には、今後も賃上げに取り組むことが期待されています。