消費増税1か月「イートイン脱税」も話題に
消費増税から1か月。増税後、売り上げを落とす企業がある一方、売り上げを伸ばした企業もある。そして今、ネット上などで話題になっている「イートイン脱税」という言葉。消費の現場はどう変わったのだろうか。
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■テイクアウト需要の伸びで売り上げ増の店も
都内の定食チェーン店では、増税後に、ある変化があったという。
大戸屋HD広報担当・岩熊英一さん「9月から10月にかけて、テイクアウトの伸びがみられます。店舗全体でいいますと、前月比105%、5%の伸びを示しています」
この定食チェーンでは、増税後、消費税率が8%に据え置かれるテイクアウト需要が伸びることを見越して、持ち帰りメニューの増加や事前注文できるアプリを導入。テイクアウトが伸びたことで、売り上げ全体も上昇傾向にあるという。
■「複数税率で初の年末商戦」に不安も
一方、東京・江東区にある、「塩うどん」が人気のお店では、店内飲食とテイクアウトで税率が違うため、店内用とテイクアウト用、2台のレジで対応している。増税初日は領収書の発行など、手間取っていた。
消費者にとって「わかりにくい」という批判もあった「軽減税率」。1か月たった今、どう思っているのだろうか?
塩うどん 和菓子「梅むら」大窪諭店主「事業者サイドからすれば、複数税率はとても大変。だからなるべく早く、統一税率にしていただきたい」「複数税率で初めての年末商戦がやってきますから、もう想像ができない状態」
■「イートイン脱税」店舗の対策は?
この「軽減税率」を巡って、何かと話題となったのが、購入した商品をその場で食べられるイートインスペース。増税直後には、ネットで「イートイン脱税」という言葉が話題になった。「イートイン脱税」とは、8%の軽減税率が適用されるテイクアウトで購入したものを、本来10%の消費税がかかるイートインスペースで飲食することを意味する。
この「イートイン脱税」で、客同士が不公平を感じないように対策を講じるお店も。「ドトールコーヒー」では通常、温かい飲み物の店内での提供はマグカップで、テイクアウトは紙コップになる。ただし、店内で少し飲んだ後、店の外へ持ち出す客もいるため、テイクアウトの紙コップに店内飲食ができる10%の消費税を払った目印になるシールが貼られている(店舗により異なる)。
増税から1か月、今後の経済動向について、第一生命経済研究所の藤代宏一氏は「10月の消費の実態は台風19号の影響もあって把握しにくいものの、生活に身近な食料品の税率が据え置かれたこともあり、消費者心理が一段と悪化している状況ではない」としている。しかし、「賃金の伸びが鈍い中、今後、消費の動向を注意深くみる必要がある」としている。