ヤフーLINE統合から見える2020年
ヤフーを展開するIT大手・Zホールディングスと無料通信アプリを運営するLINEが経営統合する─私たち消費者にとって身近なIT企業2社の経営統合は、2019年の一大ニュースとなった。
この経営統合では、Zホールディングスを傘下に持つソフトバンクとLINEを傘下に持つNAVERが共同で出資して会社を設け、傘下にヤフーとLINEを置く。これに伴いLINEは上場を廃止する見込みだ。
今回の経営統合の狙いの一つが、両社が目指す「スーパーアプリ」の開発だ。スーパーアプリとは、スマートフォンにそのアプリ1つダウンロードさえすれば、メッセージのやりとりだけでなく旅行やタクシーの予約、買い物の支払いなどあらゆるサービスを使うことができるものだ。こうして1つのアプリに統合することで「ヤフー」と「LINE」の経済圏を拡大する狙いがある。
また、世界の巨大IT企業・GAFAの存在も意識している。ZHDとLINEの社長は、研究開発費やマーケットシェアではGAFAに勝ち目はないと認めたものの、日本を中心としたアジアでのサービスに強みを持つ2社が連携することで、巨大なライバルGAFAに負けないサービスの開発を目指せるという。
一方、ほかの企業でも決済サービスを軸に様々なサービスを連携させる「スーパーアプリ」化の動きがある。
たとえばNTTドコモでは、決済アプリ「d払い」上でタクシーの配車や牛丼チェーン「吉野家」の持ち帰り予約、コンビニ大手「ローソン」の生鮮食品の予約などができる。
KDDIでは、決済アプリ「auウォレット」を開けば旅行の予約や電子書籍の購入、料理レシピの確認などができるよう機能を強化している。
このような動きは、ZホールディングスとLINEの経営統合の手続きが完了する2020年中に加速するとみられる。スマートフォンを使った生活はどう変わるのか、2020年は大きな変化の年となりそうだ。