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記録的な大雨や猛暑で傷つき出荷できない「旬の果物」 廃棄せず格安で…

2022年8月25日 20:42
記録的な大雨や猛暑で傷つき出荷できない「旬の果物」 廃棄せず格安で…

各地で記録的な雨や天候不順で、果物など旬の味覚に影響が出ています。一方、そのままでは売り物にならない果物を廃棄せずに、消費者に届ける試みが人気になっています。

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全国各地で記録的な雨に見舞われ続ける今年の夏。農作物への被害も深刻となる中、お得に食べて応援する人が増えています。

25日、千葉県の市川市役所に長い列ができていました。その数は約80人です。お目当ては、今が旬で市の名産の「梨」です。25日は通常1000円ほどするブランド梨の「幸水」を3個600円で販売しました。用意した145セットが10分ほどで売り切れました。実は、今年6月に市内で降ったひょうによって、傷が付くなどの被害を受けた梨です。

市川市農業振興課 石井啓友課長
「味は全く変わらないので、市川のおいしい梨を皆さんに味わっていただいて」

市は「ひょう」と明記した上で、傷ついた梨を安く販売しました。

夏休みの子どもたちにも、喜ばれています。

「おいしければ、まだ食べられるからいいんじゃない」

「大切に育てたものだから、大切に食べたい」

被害を逆手にとったPR作戦も行っていました。ひょうに当たったことに縁起を担ぎ、「あた梨(り)ちゃん」と名付けました。

JAいちかわ果樹部会 荒井一昭部会長
「自然災害だから、しょうがないしね。災い転じて、福となすでね」

JAいちかわが、通常の半額ほどで販売しています。

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真っ赤な果肉に、みずみずしい果汁。通常3000円以上する夏の風物詩スイカも、1500円ほどと半額で販売されています。

その理由は、今月初めに山形県を襲った記録的な大雨です。畑が浸水被害を受け、日よけの役割を果たすツルが枯れる被害が発生しました。その後の猛暑によって、表面が“日焼け”してしまうスイカが相次いだのです。市場に出せないため、当初は泣く泣く廃棄していました。

山形県米沢市のスイカ農家・EDEN 我妻飛鳥さん
「(今年は)糖度のりはよくて、せっかく作ったモノを捨てるのって、切ないですし」

切ってしまえば、中身は変わらず。「例年よりも甘くて、おいしいスイカを食べてほしい」と自社のホームページなどで安く販売しています。

(自社HPとポケットマルシェで販売。電話での注文は受けていません)

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濁流にのみ込まれた街。連日の記録的な雨で、甚大な被害を受けた山形県飯豊町を応援しようと立ち上がったのが、東京・高円寺にある17の飲食店です。

飯豊町の農産物が軒並み被害を受ける中、奇跡的に無事だった「シュガーコーン」というブランドとうもろこしを使ったメニューを販売しています。

酒場ニホレモ店長 熊谷孝彦さん
「甘いですね。甘みが強くて、実もしっかりしていて」

きっかけは、高円寺にある飯豊町のアンテナショップでした。

アンテナショップを運営 ホットワイヤーグループ代表取締役 佐久間ヒロコさん
「本当においしいものを食べて、みんなが幸せになって、それが支援につながったということなので」

生産者の応援はもちろん、飯豊町全体の復興へつなげていきたいと話しています。