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スマホ決済“不正出金”「秘密の施設」取材

2020年10月13日 21:41
スマホ決済“不正出金”「秘密の施設」取材

スマ―トフォン決済で、知らないうちに不正に出金されてしまう問題は、発覚のきっかけとなったドコモ口座だけでも被害は125件、2842万円に及んでいます。私たちは、24時間体制で不正を監視する施設を取材することができました。

12日、開かれたスマホ決済の企業向け勉強会。

主催者「取り組むテーマ案としては不正防止の技術」

先月、ドコモ口座を発端に、PayPayやメルペイなどでも発覚した不正出金問題。スマホ決済のセキュリティー強化が求められる事態となりました。

私たちは福岡県のある施設へ。詳しい場所は秘密だというこの施設はPayPayのセキュリティー部門。

PayPay オペレーション本部業務部・清水啓輔リーダー「携帯のほうをお預けしたうえで警備員に所持品検査を、こちらの部屋では“システム(AI)と人”による監視業務を行っています」

こうした施設は全国に数か所あり、365日、24時間体制で不正を監視しています。

実際にAIが不正を検知した画面を特別に見せてくれました。AIが不正を見抜く基準は防犯上の秘密ということですが、特別に過去のケースを教えてもらいました。

PayPay 安全対策室・水嶋康一朗マネジャー「東京の近郊でお買い物をされている方が、直後に大阪府のコンビニに移動されて決済をするケース…」

数分の間に東京と大阪で使われたという、通常起こりえない移動から不正がわかったもの。他にも銀行から高額なチャージが連続した場合なども、不正かどうか見抜けるようにAIの精度を高めているということです。

しかし、不正を全て見抜くことはできないといいます。いわゆるスマホ決済では銀行口座とアカウントを紐付けます。ここで本人確認が不十分だと、第三者による“なりすまし”を見抜けず、本人の知らない所で口座から出金されてしまうのです。

そこで導入が始まっているのが、本人確認を強化する「eKYC」と呼ばれる方法です。

メルペイで導入されたeKYCを記者が体験。まず、顔写真付きの運転免許証などを撮影します。そして顔も一緒に撮影。さらに顔認証も行います。顔を動かすことで本人が登録している証しになります。免許証に写っている人物と申し込みをしている人物が、同一人物であると確認できるといいます。

専門家は…。

京都大学 公共政策大学院・岩下直行教授「犯罪者にとってはそこを突破するのは結構大変です。身分証明書も上手に偽装するっていうのはなかなか大変なことですから」

巧妙化するスマホ決済による不正。見抜く側の対策も、進化し続けることが求められています。