携帯料金 大手横並びの背景は
菅政権が携帯料金の引き下げを求めるなか、今週KDDIが新料金プランを発表しました。これで大手3社のプランが出そろいました。
NTTドコモとソフトバンクは先月、データ使用量が20ギガバイトで、月額2980円のプランをそれぞれ発表しました。
今週KDDIが発表したのは20ギガバイトで2480円のプランですが、ライバル2社のプランには含まれる「5分以内の国内通話かけ放題」を付けると2980円となり、3社の料金は横並びとなった形です。なぜ横並びとなったのでしょうか。
ある通信会社の社員は、「他社の値段より安くして、値下げ競争になると、体力の削りあいとなって共倒れする。値段はある程度同じにして、サービスを差別化し競争するのが基本的なスタンスだ」と語ります。実際、今回の新プランも各社の料金は横並びですが、サービスは差別化しています。
最初に発表したドコモは、世界82の国と地域でも追加料金なく利用できるようにします。サービス開始は3月ですが、事前申し込みサイトにはすでに55万人が登録しているということです。
ソフトバンクは、幅広い利用者がいる通信アプリの「LINE」と全面的に連携します。LINEを原則使い放題にして、申し込み手続きもLINEから簡単にできるようにします。
KDDIは、200円課金すると24時間データ通信が無制限になるなど、必要に応じて利用者がサービスを追加したり外したりできることが特徴です。
一方、新プランへの乗り換え手続きは、3社ともに携帯ショップなどの店頭ではできず、ユーザーがオンラインで行う必要があります。3社とも窓口で手続きを受け付けないことで、コストを削減しました。
結果として、割安プランは実現できたものの、通信業界に詳しい専門家は「各社とも、かなりお得なプランを出してきたが、今回は政府の圧力が強すぎたのではないか」と指摘します。
菅政権が携帯料金の値下げを強く求め続けてきたことと、今回の割安プランは無関係ではありません。これで公正な競争原理が働いているといえるのでしょうか。大手3社には純粋に企業としての努力が期待されます。