地価高騰も…“半導体バブル”で潤う熊本・菊陽町 期待と戸惑い
株価の史上最高値更新。その要因の1つが、「半導体」株の上昇です。その半導体を製造する大手、台湾のTSMCが24日、熊本工場の開所式を行います。半導体をめぐり巨大企業の進出に沸く地元と、日本政府が直面する課題について取材しました。
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熊本県のある焼き肉店。地元客などから聞こえてきたのは…
「菊陽(町は)今もうやばいよ! 土地も高くて。どうなるんでしょうね? 家売るか!? オイ!」
景気のいい話の理由は――
「やっぱ半導体だよね。半導体じゃないか!」
熊本県の真ん中に位置する菊陽町。
人口約4万3000人のこの町で24日に“開所式”を迎えるのは、台湾が拠点の世界大手の半導体メーカー、TSMCの工場です。
周辺には多くの関連企業が集まり、地価も上昇。町全体がいわゆる“バブル”状態になっているのです。別の居酒屋でも…
居酒屋ふぅ凜 オーナー
「きょうはもう予約でいっぱい」
――きのうは
「きのうもいっぱい」
――あしたは
「あしたもいっぱい」
ビジネスホテルでも…
ホテルサンロード熊本 オーナー
「プリントしてるのはTSMCの現場(の宿泊客)」
ずらりと並んだ外国人の名前。すべてTSMCの関係者です。
隣町でもTSMC関係者などの入居を狙い、マンションの建設ラッシュが進みます。
急激に変わりゆく街。一方、住民からは戸惑いの声も聞かれます。
住民
「朝と夕方と渋滞するようになりましたね」
工場すぐ近くの道路。通勤時間帯は、TSMC関係者などの車で常に渋滞するようになりました。さらに農家からは…
工場近くの農家
「(タンクに)水を今までためていた速度が、5分ぐらいで1000リッターたまっていたのが、18分ぐらいになったりとか。水が出にくくなっている状態は現状ある」
製造の際、多くの水を使用する半導体。この農家は“農業用水が出にくくなった”と感じていました。さらに地価の上昇で土地の売却が相次ぎ、農業の継続が難しくなるとの不安の声も。
工場近くの農家
「これから先ずっとここには、居続けることはできないかな」
今月、TSMCは菊陽町に2つ目の工場を建設すると発表。日本テレビの取材では、日本政府はこれに1つ目の工場への支援をさらに上回る巨額の補助金を投じる方針です。
菊陽町の住民
「バブルだというふうに言われていますけど。バブルにならないように、足元、足をしっかりつけて計画をたててほしいな」
海外企業の進出でもたらされる“潤い”と地域住民の“暮らし”をどう両立するか、日本政府にはその舵取りも求められています。