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20年ぶり「新紙幣」いよいよ 3Dホログラム、進化版すかし……偽造防止の最新技術 “最後の紙幣”に?【#みんなのギモン】

2024年7月2日 10:04
20年ぶり「新紙幣」いよいよ 3Dホログラム、進化版すかし……偽造防止の最新技術 “最後の紙幣”に?【#みんなのギモン】
新しい技術や工夫が採用された新紙幣の発行が、いよいよ7月3日に迫ってきました。1万円札・5000円札・1000円札の全てで肖像となる人物が変わりますが、どんな基準で選ばれるのでしょうか?決済のキャッシュレス化が進む今、紙幣の未来を考えます。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「20年ぶり新紙幣 これが“最後”?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●最新デザイン“顔”どう決まる?
●キャッシュレス 紙幣に未来ある?

■お札の人物を決める際の条件は?

渡邊翔・日銀金融担当キャップ(経済部)
「20年ぶりとなる新紙幣の発行が、いよいよ7月3日に迫ってきました。新紙幣の肖像について、日本銀行から3日に発行される新紙幣は1万円札・5000円札・1000円札の全てで、肖像になる人物が変わります」

「1万円札は実業家の渋沢栄一さん、5000円札は教育家の津田梅子さん、1000円札は細菌学者の北里柴三郎さん。この3人はどう決まるのでしょうか?」

「財務省やお札を製造する国立印刷局によると、お札の人物は現在は明治以降の人物の中から基本的に選ばれます。国民に広く知られていて、その業績も広く認められていること、偽造防止の観点からなるべく精密な写真が手に入ることなどが条件です」

「最終的には財務大臣が決定する形になっています」

■約60年前、渋沢さんが最終候補に

渡邊キャップ
「今回1万円札の顔に選ばれた渋沢栄一さんは、以前もお札の最終候補に残っていました。渋沢さんが設立に関わった宮城県の七十七銀行に保存されているのですが、1000円札に渋沢さんが描かれ、『試作図案』と書かれています」

「今から60年ほど前の1963年、1000円札のデザインを新しくする際に、初代の総理大臣を務めた伊藤博文さんとともに、渋沢さんが最終候補に残ったということです。渋沢さんが採用されなかった理由は諸説ありますが、肖像にヒゲがなかったからとされています」

「偽造防止の観点から、ヒゲがある伊藤博文さんの方が採用されたと言われています」

刈川くるみキャスター
「なぜ、ヒゲがある方が偽造防止になるんですか?」

渡邊キャップ
「単純と言えば単純で、ヒゲはいろんな線をたくさん描くため、偽造しにくくなるという理屈だったようです。もちろん今は技術が進歩していて、ヒゲがなくても大丈夫。渋沢さんもヒゲがない肖像になりましたし、女性もお札の肖像に選ばれる時代になりました」

「お札のデザインはだいたい20年ごとに変えられていますが、変える一番の理由はまさに偽造防止です」

■技術の発展とともに偽造が困難に

渡邊キャップ
「今回のお札にもいくつかの新しい技術が採用されています。1つは3Dホログラム。見える方向によってお札の肖像が回転する技術で、お札に使われるのは世界初です。もう1つは、『すかし』の進化です。肖像に加えて、その周りにも細かい模様が入れられました」

森圭介アナウンサー
「お札の歴史というのは、偽造防止の技術の歴史でもあるということですね」

渡邊キャップ
「まさに、技術の発展とともに偽造しにくくなっているということです」

■ユニバーサルデザインをより意識

渡邊キャップ
「また今回の紙幣には、誰もがお札を利用しやすいようなユニバーサルデザインがより意識されています。例えば金額の数字。これまでは端にありましたが真ん中に移動し、大きくなりました。外国人の方も、一目でいくらか分かりやすいようにという工夫です」

「お札には目が不自由な方のために、指で触って何円札か分かる識別マークが入っています」

森アナウンサー
「(実際に触ると)ちょっとボコボコしています。今もあったんですね」

渡邊キャップ
「これまでは同じ場所にあり(金額によって)マークが違いましたが、今回はお札の種類によってマークを入れる場所自体を変えるようになりました。より判別しやすくなったということです」

森アナウンサー
「我々も知らなかった技術がお札自体にあり、それが進化するんですね」

渡邊キャップ
「新たな発見になればと思います」

■メガバンク、新紙幣への両替いつから?

山崎誠アナウンサー
「新しいお札が出るとすぐ手に入れたいという方もいると思いますが、すぐ手に入るものなんですか?」

渡邊キャップ
「3日の発行日早々に手に入る可能性は低いかもしれません。メガバンク3行は、新紙幣への両替は原則4日以降としています」

「すぐ出回らない理由としては、日銀から受け取って支店に配るのに時間がかかるというのもありますが、ある金融機関の関係者からは『若い人の現金への興味が薄れているような気もするので、ニーズがあまりないのかなという気もする』という声が聞かれました」

■キャッシュレス決済比率は39.3%に

森アナウンサー
「私も基本的にキャッシュレス決済です。たまにラーメン屋さんで現金しか使えないことがあるから、千円札を入れています。それくらい(お札を)使いません」

河出奈都美アナウンサー
「いつ使ったかな、と思い出してみました。最近築地に行きましたが、屋台や出店といったところでは現金なのかなと思います。確かに機会は減りましたね」

渡邊キャップ
「コロナ禍などを経て、日本でも決済のキャッシュレス化が進みました。経済産業省によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%に上昇。また日銀が今年2~3月に行った調査では、半年前に比べて現金を使う頻度が減ったと答えた人は、40.2%でした」

■日銀は新たな実験も…紙幣どうなる?

山崎アナウンサー
「これだけキャッシュレスが進んでくると、現金やお札は存在感が薄くなってしまいますよね。これからどうなっていくんですか?」

渡邊キャップ
「今は、そうは言っても現金派が多い日本です。お札を発行している日銀でも『法定通貨』、つまり法律で定められた通貨である硬貨やお札にデジタル通貨が加わる場合どうなるか、という実験を始めています」

「野村総合研究所のエコノミスト、木内登英さんに聞きました」

木内さん
「将来的に法律で決められたデジタル通貨が導入されれば、一気にキャッシュレス化が進む可能性がある。そうなった場合、20年後、次に紙幣を新しくする時に同じように使われているかは分からない」

「今回が、本格的に流通する最後の紙幣になる可能性はそれなりにあるのではないか」

森アナウンサー
「20年後もしかしたら、『紙のお金なんか使ったことないけど?』という新世代の子どもたちが生まれるかもしれないということですよね。今後お金の使い方も試金石になって、我々が新紙幣をどうやって使っていくのかが試されるかもしれませんね」

渡邊キャップ
「新しいお札が発行されても今までのお札はこれまで通り使えます。『古いお札が使えない』などのニセ情報や詐欺にはくれぐれもご注意ください」

(2024年7月1日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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