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“競争過熱”で……ふるさと納税「ポイント」禁止へ 仲介業者「自治体の手数料にポイント原資は含まれず」【#みんなのギモン】

2024年6月27日 10:35
“競争過熱”で……ふるさと納税「ポイント」禁止へ 仲介業者「自治体の手数料にポイント原資は含まれず」【#みんなのギモン】
ふるさと納税の仲介サイトによるポイントの付与が、来年10月から禁止されます。背景にはポイント競争の過熱があり、総務省は自治体の手数料負担を下げられると期待。一方の仲介サイト側は「手数料にポイントの原資は含まれていない」と主張しています。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「ふるさと納税ポイント禁止 背景は?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●ポイント競争過熱し…
●自治体の負担減る?

■買い物にも…サイト独自のポイント

河出奈都美アナウンサー
「約900万人が利用しているふるさと納税のルールが変わります。利用する時に仲介サイトにアクセスする方が多いと思いますが、どうですか?」

桐谷美玲キャスター
「私もこういったサイトを使ってやっていて、ちょうど先日、フルーツが届きました」

河出アナウンサー
「こうした仲介サイトを通してふるさと納税を利用すると、サイト独自のポイントが付与されます」

伊藤遼アナウンサー
「私は恥ずかしながら知らず、先ほど確認したら(ポイントが)失効していました。何も使わずになくなってしまい、たまっていることを知らなかったんですよね。使えばよかったなと思いましたね」

河出アナウンサー
「付与されたポイントは他の買い物などに使えるシステムですが、来年10月からはこのポイント付与が禁止となります」

■応援したい自治体に寄付する仕組み

山崎誠アナウンサー
「ポイントの元になる金額が10円や数百円のものではないので、この影響は大きそうですよね」

河出アナウンサー
「ふるさと納税は、好きな自治体や返礼品を決めて寄付するというものです。収入などによって年間の上限額が違いますが、ふるさと納税で自分が応援したいと思う自治体に寄付した分、本来納めるはずの住民税や所得税が控除(自己負担2000円)されます」

「そして寄付額の3割以下、例えば1万円の場合は最大で3000円相当のお肉やお米、フルーツといった返礼品がもらえます。私たちにとっては、こういった控除に加えて返礼品分がお得という制度です」

「仲介サイトはこの自治体と返礼品を選ぶ際に使われるものです。このサイトを使うことで、自治体にとって自分たちでPRする手間を省いて寄付を集められるというメリットがあります」

「一方で消費者にとっては全国の自治体でどのような返礼品があるのか、まとめて一覧で見ることができます。さらにそれに加えて、サイト独自の、寄付額に応じたポイントの付与を受けられるというメリットがありました」

■ポイント還元率UPで利用者獲得へ

桐谷キャスター
「サイトを選ぶ時に、ポイントを考慮する人もきっと多いですよね」

河出アナウンサー
「サイトごとに色々な仕組みやシステムがありますからね。仲介サイトには、『もれなく2000ポイントプレゼント』『今だけ開催中 ポイントUPキャンペーン』といった文字が載っていることがあります。ポイントの還元率の引き上げで利用者の獲得を図っています」

「ただ、こうした状況は今後なくなると言えそうです。厳密に言うと、このルール見直しは自治体を対象としたもので、自治体がポイントを付与するサイト事業者を通じて寄付を集めることを禁止するというものです」

伊藤アナウンサー
「私はクレジットカードでふるさと納税のお金を払っています。各仲介サイトのポイント禁止というのは分かりましたが、クレジットカードのポイントはどうなるんですか?」

河出アナウンサー
「それは決済に伴う通常の商取引になりますので、ルールの対象外です。クレジットカードのポイントは付きます」

■街では「元々付くようなものでも…」

河出アナウンサー
「サイトのポイント付与がなくなることについて26日、街の人にも聞きました」

60代
「ふるさと納税自体もらえてありがたいと思っていたので、抵抗は特にないです」

30代
「早めにやっておこうかなみたいな。なくなる前に。元々ポイント付くようなものでもないのかなと思うので、付いていた時期がラッキーみたいな」

■サイト事業者に払う自治体の手数料

刈川くるみキャスター
「ポイントの付与だけで考えると、もらえないよりもらえる方がうれしいなと思うので、これから駆け込み需要も増えそうです。今回なぜ禁止に乗り出すのでしょうか?」

河出アナウンサー
「そこが疑問ですよね。そもそも何のための禁止なのかというと、自治体のためなんです。自治体は仲介サイトを利用するためにサイト事業者に手数料を払っています」

「複数の自治体によると、手数料は寄付額の約10%。手数料の中にポイントの原資も含まれているとみられていて、総務省はポイント競争が過熱している状況が緩和されれば、手数料が下がることにつながると期待しているということです」

■松本総務大臣が語った「意義」

桐谷キャスター
「自治体をより良くするために使うお金が増えるということなら、すごくいいなと思いますね」

河出アナウンサー
「本来の目的は、寄付を自治体で活用することです。松本剛明総務大臣も今回のルール見直しについて、「ふるさと納税につきましては返礼品目当てということではなく、寄付金の使い道や目的に着目して行われることが意義あることと考えております」

■ポイント原資は手数料? 事業者に聞く

山崎アナウンサー
「こうやって進んでいって、実際に自治体の負担は減っていくんですか?」

河出アナウンサー
「それが実は、分からないんです。仲介サイトの業者は『手数料にポイントの原資は含まれていない』としています」

「最も寄付を集めている楽天グループは『ポイントは当社が原資を負担している』、シェア2位のさとふるも『当社のプロモーション予算から負担している』としています。ポイント付与のためのお金は自治体からではなく、あくまで自分たちで出しているといいます」

「自治体の手数料を減らす予定があるかどうか聞いたところ、25日の時点で楽天グループは『未定』、さとふるは『現時点では予定していない』ということでした」

■付与禁止の効果は? 総務省に聞く

伊藤アナウンサー
「見直して意味が出てくるのかな、とも考えてしまいます」

河出アナウンサー
「ポイント付与の禁止でどのような効果が実際にあるとみているのか、総務省に聞きました」

「担当者は『事業者間で競争が激しくなり、ポイントなどに多額の経費が使われていると思われる。ポイント禁止で全体の経費が下がることで、ふるさと納税の本来あるべき姿に整えようとしたのが今回の措置』と話しています」

「つまり、ポイント競争がなくなることで、余分にかかっていた経費をなくして、本来のシンプルな姿に戻すということです」

■寄付先として人気の自治体は?

河出アナウンサー
「では、自治体はどのように受け止めているのでしょうか?」

「全国で寄付額トップクラスの宮崎・都城市のふるさと納税担当者は『手数料が下がれば、地元に落ちるお金が増えるのでそれはありがたい』としています」

「北海道・紋別市の担当者も『手数料の割合は経費の大きなウェートを占めている。それが抑えられる形になれば、経費面では恩恵を受けられると思っています』と話していました」

山崎アナウンサー
「仲介サイトの業者によると『手数料にポイントの原資は含まれていない』ということで、この辺りのすり合わせは必要になってくるかなと思います」

「ただ、元々の目的は寄付ですし、元々納めていたものの3割近くが還元されるのは変わりません。そこはしっかり消費者としても楽しんでいきたいなと思います」

河出アナウンサー
「きちんと自治体に還元される仕組みになるよう、多くの人が利用するふるさと納税ですので、ぜひ活用してもらいたいと思います」

(2024年6月26日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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