ふるさと納税の「ポイント」禁止へ……ナゼ? 総務省「競争過熱が緩和すれば手数料が下がる」 仲介サイトや自治体の声は
総務省は25日、ふるさと納税の利用時に仲介サイトからもらえるポイントを、来年10月から禁止すると発表しました。同省は競争が緩和されることで、ポイントの原資である自治体が払う手数料が下がることを期待。ただ、仲介サイト側の主張は異なっています。
藤井貴彦キャスター
「寄付総額が9600億円超(2022年度)、約900万人(2023年度、控除適用者)が利用しているふるさと納税。これを利用する時に仲介サイトからもらえるポイントを来年10月から禁止すると、総務省が25日発表しました。この日、東京・有楽町で聞きました」
会社員(50代)
「あっ、そうなんですか。すごいショック」
大学生(19)
「えぇ~そうなんですか。悲しい」
大学生(20)
「ポイントのためにやっている方も…。私の両親とかそうなので、やる人減りそうかなって」
会社員(50)
「ポイントもおまけみたいなものなので、ふるさと納税はまたやってみようかなと」
介護職(44)
「残念ですけど、ポイントがつくのは元々不思議な話なのでしょうがないかなと」
「ふるさと納税は利用されますか?」
波瑠さん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「よく利用しています。(返礼品は)主に日用品を」
藤井キャスター
「私はホタテです。なぜ、ポイントを禁止にしようとしているのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「ふるさと納税の仕組みを改めて説明します。好きな自治体や返礼品を決めて寄付をします。収入などによって年間の上限額が違いますが、住民税や所得税から控除(税の割引、自己負担2000円)が受けられます」
「さらに、寄付額の3割以下、例えば1万円を寄付した場合は最大で3000円相当のお肉やお米などといった返礼品がもらえます。私たちにとってはこの返礼品分がお得という制度ですが、自治体と返礼品を選ぶ際に多くの人が利用しているのが、仲介サイトです」
小栗委員長
「『さとふる』や『ふるなび』『楽天』など色々ありますが、寄付額に応じて仲介サイトからもポイントをもらえます。総務省は25日、来年の10月からふるさと納税で仲介サイトがポイントを付与することを実質禁止する方針を発表しました」
藤井キャスター
「このポイントでふるさと納税の仲介サイトを選ぶという方も多いのではないかと思いますが、これがなくなることになるのですか?」
小栗委員長
「そうです。背景としては、ポイント付与競争の過熱があります。仲介サイトは、『期間限定最大30%』『還元祭最大50%』などと銘打って(付与率を)引き上げることで、利用者の獲得を図ってきました」
「一方で、複数の自治体によると、自治体側は仲介サイトを利用するための手数料として、寄付金額の約10%を支払っているといいます」
「総務省によるとこの手数料の中にポイントの原資も含まれていて、競争が過熱している状況が緩和されれば、手数料が下がることにつながると期待しているといいます」
藤井キャスター
「では、ポイント分は自治体にきちんと還元されていくことになるのでしょうか?」
小栗委員長
「そこがよく分かりません。仲介企業側に25日聞くと、ポイント付与に関しては『当社のプロモーション予算から負担している』『ポイントは当社が原資を負担している』など、自治体から直接は費用をもらっていないとしています」
「一方で自治体側はどうでしょうか。全国で寄付額トップクラスの宮崎・都城市のふるさと納税担当者は『元々どこまでがポイント代か分からないので、自治体に入るお金が増えるかどうかは未知数』と言います」
「北海道・紋別市の担当者は『ポイント合戦の過熱に比例して手数料も上がってきたので、ポイント原資分の手数料が抑えられる形になれば、経費面では恩恵を受けられると思っています』と話しています」
波瑠さん
「私はふるさと納税を利用する時、お金がどんなふうに使われるかを見るようにしています。ポイントを意識して利用してきたわけではありませんが、サイト同士の過剰な競争がなくなれば、気持ちよくふるさと納税先を決められるようになるのかなと思います」
藤井キャスター
「付与されるポイントは、仲介サイトが原資を負担しているのか、ポイントを増やすために自治体が払う手数料が上がっていないのか。その実態をはっきりさせることができれば、利用者の納得感も、変更の方向性も決まってくるのではないでしょうか」
(6月25日『news zero』より)