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“あたらないカキ”? 「海の幸」あえて陸上で養殖のワケ 海ぶどうを静岡で… 高級食材アワビも

2023年10月16日 19:14
“あたらないカキ”? 「海の幸」あえて陸上で養殖のワケ 海ぶどうを静岡で… 高級食材アワビも

カキやアワビなどを陸上で養殖しようという取り組みが広がっています。「海の幸」をなぜ、あえて陸上で育てるのか? 取材すると、様々な戦略が見えてきました。

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プリップリの白い身と栄養が豊富なことから“海のミルク”とも呼ばれるカキ。寒くなるこの時期から客が増えるという東京・銀座のカキ専門店では、“あたらないカキ”の開発が進められていました。

ゼネラル・オイスター 吉田社長
「“あたらないカキ”というのを今回、発表させていただきました」

開発のきっかけは――

ゼネラル・オイスター 吉田社長
「2006年にノロウイルス騒動というのがありまして、二枚貝、特に『カキ危ないよ』っていう形でお客さんが激減。自分たちの手で安全なカキを作ろうというところで」

目指したのは、食中毒の恐れがない「安全なカキ」。そこで目をつけたのが…

ゼネラル・オイスター 吉田社長
「陸上で海洋深層水をくみ上げてきて種から成貝まで育てますので、生活排水とかに影響されない養殖になります。海ではなく陸上養殖を考えついた」

ノロウイルスなどが存在しない水深200メートル以上の深い場所にある海水を使い、完全陸上養殖にすることで“あたらないカキ”が実現したといいます。3年以内には販売を開始したいということです。

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水槽などを利用して魚介類の養殖を行う陸上養殖。実はここ数年で、海の幸を陸上で養殖する業者が急増しているというのです。

千葉県いすみ市にずらりと並ぶ、白い建物の中を見せてもらいました。

A’Culture代表取締役 小山義彦さん
「こちらが水槽でして、浅いところでアワビを育てている」

養殖されていたのは高級食材「アワビ」。暗い空間いっぱいに水槽が設置されていました。気になるその味は…。

田中夏子記者
「コリコリとした食感もありつつ、やわらかくて食べやすいです」

もともと、いすみ市では天然のアワビを特産としていましたが、年々漁獲量が減少。価格も高騰する中、台風などの天候の影響も受けない陸上養殖は1年中、安定した価格で提供できるといいます。

A’Culture代表取締役 小山義彦さん
「(天然のアワビは)1キロ1万5000円という相場が、今は2万円ぐらいになっている。(陸上養殖のアワビは)どのサイズも7000円台で販売している」

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緑色に輝くプチプチとした食感が特徴の海ぶどう。沖縄など暖かい海に生息する海藻ですが、パッケージに「ふじ山 海ぶどう」と書かれた商品があります。静岡県沼津市で陸上養殖された海ぶどうです。

沖縄で海ぶどうを養殖する静岡県の企業が、この取り組みを開始。沖縄では台風の影響を受け、安定して出荷ができていなかったため、地元、静岡の廃校になった小学校のプールを活用し、去年10月から陸上養殖を始めたといいます。今年8月に初出荷を迎え、現在、飲食店などで提供されているということです。