白菜が“5割安”鍋料理の食材が下落 生産者からは悲鳴が…
冬の定番料理といえば、「鍋」ですが、その鍋料理で使われる食材に異変が起きています。白菜が平年と比べて半値になるなど、鍋で使う食材の価格が下がっていて、生産者は苦悩しています。値下がりの背景には、感染拡大の影響があるといいます。
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暦の上では春ですが、まだまだ続く冬の寒さ。さらに、この週末は強い寒気が到来し、凍えるほどの寒さがやってくる予報です。
そのようなときに恋しくなるのが、温かい鍋。東京・足立区にあるちゃんこ料理屋のちゃんこ鍋は、野菜からとったダシに、鍋からはみ出るほどのたっぷりの具材があり、やさしいお出汁が、冷えた体をあたためてくれます。
しかしいま、鍋にかかせない具材に異変がおきています。
ちゃんこ料理大和龍 平井敏郎店主
「白菜とかキャベツ、その辺がずいぶん安いですね」
東京都中央卸売市場の卸売価格は、平年と比べネギはおよそ3割安、白菜も5割安に。
平井店主
「野菜がいいときは、鍋も、おいしい鍋を食べてほしいじゃないですか」
同じ現象は都内にあるスーパーでも…
スーパーイズミ 五味衛社長
「白菜こちら、いつもの半額以下ですね、例年に比べたら。きょうは130円という大玉で売ってます。国産の長ネギがここまで安くなったのは、わたしも何十年もやってるけど、20年ぶりぐらいだと思います」
例年、この時期300円ほどする白菜が130円(税抜き)。ネギも5本から8本ほどで、98円(税抜き)で販売していました。
感染拡大の影響で、まん延防止等重点措置が適用される中、スーパーによると、飲食店の時短営業などの影響で需要が減少。例年より、食材を安く仕入れることができるといいます。
お得な食材は野菜だけでなく…
五味社長
「こちらタラですね。例年に比べたら、1割上から約2割安くなっています」
この状況に買い物客からは、うれしい声が上がっています。
「助かります。お野菜がないとね」
「このネギとっても安くてびっくりしました。寒いときは鍋物とかやりたいと思うんですけど、値段でやっぱり入れるものが変わってきたりする。別の具材にしようとか考えますね」
一方、生産者からは悲鳴が聞こえます。
鈴木農園 鈴木弘晃さん
「いやーもう、なんとも言いがたいですよね。これだけ立派ないい白菜ができてるんですけど、値段が合わないと、赤字になってしまうのかなっていうような値段になっていますね」
関東有数の白菜の産地茨城県。この冬は天候にも恵まれ、最高の白菜が畑一面に広がっています。
しかし、今年に入って感染が拡大し需要が激減。取引価格は、例年の4分の1まで落ち込んでいるといいます。
この農園では、2年前、感染拡大の影響で、行き場を失った白菜を廃棄していました。今年こそは、同じことを繰り返さないように、新たな取り組みをしていました。
鈴木さん
「新規の取引先を探す作業でして」
少しでも白菜を無駄にしないため、新しい取引先を自ら開拓しているといいます。
鈴木さん
「どんな形であっても、みなさんに食べていただきたいと、そういう思いがありますね」