大根に逆風…サンマの価格高騰“不作”も
秋の味覚、サンマが今年も不漁となっていますが、その影響が大根にまで及んでいます。大根おろしの出番が減って売り上げが減少し、さらに、あのご飯のお供も食卓から遠ざかっていました。
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炭火でじっくり焼いた秋の味覚「サンマ」。ほどよく脂ものって、身はフワフワ。東京・渋谷区の店では、今月からサンマの提供を開始。
「脂がのってておいしいです。旬のものを食べたいなと思って」
「季節が秋っぽくなってきたので、今日もサンマ食べたいねと」
この時期に食べたくなる旬の味ですが─。
食彩かどた 寺本好晴料理長
「サンマが安かったというのは、大衆魚だったのは昭和ですね」
サンマ漁獲量は近年減少傾向にあり、去年は過去最低に。市場に出回りづらくなることで価格は上昇。この価格高騰に影響を受けているのが、サンマの相方ともいえる大根です。
一体どういうことなのか、都内のスーパーに聞くと─。
ベニースーパー佐野店 赤津友弥本部長
「サンマが2尾3尾売れれば、大根も1本売れる状態ですから、そのサンマがいないと大根が売れるというのは少ない」
こちらの店ではサンマの価格が例年の2.5倍。サンマに手をのばしづらくなったことで、おろしに使われる大根が売れづらくなっているというのです。さらに今年は─。
ベニースーパー佐野店 赤津友弥本部長
「基本的に小さくなっています。あと10センチくらい長いと良い大根になってきます」
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大根の生産者は─。
尾瀬すずしろクラブ 桑原宏行さん
「お盆の13日から4日間雨が続いたので、その影響で(畑が)こういう感じに」
記者
「くぼんでしまっている」
8月に続いた長雨により、畑の土が流されてしまったといいます。こうなると、栄養が行き届かず、大根がうまく成長できないということです。通常に育った大根と比べても、一目で小さいことがわかります。この不作の状況に、コロナの影響も上乗せされ─。
尾瀬すずしろクラブ 桑原宏行さん
「飲食店が動かないぶん、加工屋さんとか専門のツマ作るところとか注文がなくなってきた」
これまで、ツマなどの加工品として出荷されていた大根が、外食需要の減少にともない行き場を失い、1日に2000本が廃棄されている日もあるということです。
また多様化する食のニーズが、大根には逆風に…。
喜多福 安藤隆史代表取締役
「たくあんみたいな古漬けがどんどん減ってきて、浅漬けですとかピクルスみたいなのを食べるようになってきている」
東京・中央区の「喜多福」では、およそ50種類のつけものがある中で、たくあんを選ぶお客さんが少なくなってきているといいます。また、国内ではたくあんの生産量が年々減っていて、去年の生産量は10年前と比べておよそ4割も下がっています。
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和食に欠かせない大根。寒くなるこれからの消費が期待されます。