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給付金 所得制限なしの自治体も 国は容認

2021年12月15日 9:12
給付金 所得制限なしの自治体も 国は容認

18歳以下への10万円給付で要件になっている所得制限をめぐり、自治体が独自の判断で、対象外の人にも支給する動きが出ています。担当大臣は14日「止めるものではない」と容認の構えを見せましたが、地方への丸投げや不公平感を指摘する声も出ています。 


■「所得制限」なくす自治体も

有働由美子キャスター
「(18歳以下に給付される)10万円のうち、半分をクーポンでと言っていたら『現金でもいい』となり、分けるのではなく『一括でもいい』となり、そして14日は所得制限をめぐっても新たな動きがありました」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「国の所得制限により、支給されない世帯にも自治体が独自の判断で給付しようという動きが出ています。山際経済再生相は『ある意味、地方自治体の工夫の1つ。止めるものではない』と発言しました。独自にやる分にはどうぞ、ということです」


■独自の支給「人数多く難しい」

小野委員
「自治体に聞きました。兵庫・小野市は10万円給付の対象が約8500人で、所得制限によりもらえない人が約300人います」

「こういった方も含めて全員に10万円を現金で配ると、小野市の予算約3000万円を使います。理由は『(新型)コロナ(ウイルス)対策というなら、等しく皆さん大変ですから、分け隔てなくやることが大事』と担当者は話しています」

「徳島・板野町では、対象は1770人ですが、対象になっていない70人にも給付します。市の財政負担は約700万円。担当者は『そもそも人数が少ないことも、これができる理由ですが』と説明しています」

「ただ、多くの自治体ではこうはいきません。東京23区のある自治体は『所得制限の方々の数が多いので、自治体の財源で給付は難しい』と漏らします」


■政府関係者「自治体の声を反映」

有働キャスター
「自治体によって差が生じていますが、それでもいいということでしょうか?」

小野委員
「『政府としては方針を変えていない』と官邸の周辺は強調しています。『自治体独自の政策として、国の政策に上乗せするのは、自己負担で自由にやっていただいて結構』という立場です」

「政府関係者は、こうした自治体の独自策や全額現金給付を容認したことは、自治体の声を反映したものだとして、『世の中の人が望んだ結果になったのでは。押し切るという方法もあったが、これまでの政権に比べてソフトなイメージをつくれたのではないか』と言います」

「一方、野村総研のエグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは、所得制限をめぐる動きについて『地方の判断で決めていいと言うが、丸投げになっている。予算があるとないとで不公平感も出てくる。国の一律の政策としてはおかしいと思う』と指摘しています」


■落合さん「10万円のゴール見えず」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「『なんで10万円配るんだっけ?』というのが、貧困対策なのか、子育て支援なのか、景気対策なのか、というゴールがしっかり見えません。また、手法論の話になってしまっていて、何のためか目的がきちんとコミュニケーションできていないところが(あります)」

「(岸田首相は)人の話は聞いてもいいですが、ガイドラインやコアバリューはあまり変えないでほしいです。つまるところ、支持率を上げるために配るというか、最初から(衆議院)選挙での争点だったから引き戻せなくなっているというなら、納得はするのですが」

有働キャスター
「そう思ってる方も少なくないかもしれませんが、方針を決めた以上は、自治体や住民がこれ以上困惑しないよう、きめ細やかにバックアップしていただきたいと思います」

(12月14日『news zero』より)