「県民割」拡大で…旅行の需要回復? ハワイツアーも2年ぶり実施へ
旅行代金が割り引きされる「県民割」の拡大などを受け、旅行需要が徐々に高まっています。また、大手航空会社は、約2年ぶりにハワイツアーを実施する予定です。こうした中、連休に向け、予約が去年の2倍となる旅館や、工場見学を再開させた企業からは、連休に向け期待の声が聞かれました。
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豊かな自然を見ながら楽しめる露天風呂や、趣深い空間が広がる客室がある、埼玉・秩父市の温泉旅館「ゆの宿 和どう」では、今月に入り、変化がありました。
ゆの宿 和どう 支配人・島崎伯人さん
「4月の1日は、電話がパンクするぐらいの数のお問い合わせ、ご予約いただきました。例年と比べると、倍ぐらいの量に増えております」
埼玉県では、今月から県民割の対象エリアが拡大されました。さらに、県独自の割引を利用すれば、最大1万円お得に宿泊できるのです。そのため、この旅館では、ゴールデンウイークはすでに予約でいっぱいになったということです。
ゆの宿 和どう 支配人・島崎伯人さん
「この2年、本当にコロナ禍で苦しい思いをしていましたので、ある意味、うれしい悲鳴です」
観光業界から期待を寄せられる「県民割」について、斉藤国土交通大臣は12日朝、「期間の延長ができるように調整を進めている」と発言しました。
政府も観光促進を後押しする中、約2週間後に迫る大型連休について、街の人に予定を聞きました。
「GWに帰るのは、本当に久しぶりなので。山形が実家なので、帰る予定でいます」
「父親が赴任先の海外から一時帰国して、ご飯をみんなで食べに行く。だいぶ(入国の)規制がゆるくなったので」
「毎日インターネットで旅館を検索してるんですけどね。今年は良い旅館はいっぱいで、とれないという状況があるようですから」
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高まりを見せている“お出かけ需要”に応えるべく、企業も動いています。キリンビールは、コロナの影響で約2年間中止していたビール工場の見学を復活しました。ビールの製造過程を学びながら、麦芽の試食も可能です。
さらに、ビールの知識に優れた「ブルワリードラフトマイスター」が注ぐビール3種の飲み比べも楽しめるということです。
キリンビール横浜工場 広報担当 山本武司さん
「週末は、だいたい予約がいっぱいになっておりますので、『お待たせしました』というところでしょうか」
キリンビールによると、参加費は500円で、横浜工場の見学は14日から始まるということです。
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さらに、「お出かけ需要」の熱は国内のみならず、海外にも向けられています。
ANAセールスホノルル支店 鈴木貴之マネージャー
「今回4月29日から、ハワイのツアーが再開しました」
今年のゴールデンウイーク、全日空では約2年ぶりにハワイツアーを実施します。
ANAセールスホノルル支店 鈴木貴之マネージャー
「ワクチンを受けていて、かつ、検査証明の陰性が提示できれば、ハワイ来たときも日本帰ってからも、隔離が全くなく来れるようになりましたので、大きくハードルが下がったかなと思います」
現在の予約状況について、ANAセールス鈴木マネージャーは「GWは、おかげさまで日によっては満席になっておりますので、ハワイのもつ自然の魅力だったり、そういったものは変わらず、日本からのお客様待ってますので」と説明します。
さらに、日本航空でも12日、ハワイツアー再開を決定しました。
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さまざまな準備が進められる一方で、複雑な地域もあります。沖縄県は直近1週間で、人口10万人当たりの新規感染者数の平均が全国最多となりました。
ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人
「沖縄県は、ここ数日ずっと1000名を超える感染者数ということで」
沖縄・那覇市のノボテル沖縄那覇では、「ゴールデンウイークの予約状況は、この2年で一番良い」といいますが――
ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人
「感染者数が高止まりしているというのは、非常に懸案事項」
すでにキャンセルも出始めているということです。
ノボテル沖縄那覇 坂本公敏総支配人
「『まだまだキャンセルが入るんじゃないか』という大きな不安は持ってます」
地域ごとに異なり、まだまだ見通せない感染状況。基本的な対策をした上での観光が求められます。