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【解説】給与を“○○ペイ”で「デジタル給与」払い 恩恵や補償は?

2022年9月15日 1:48
【解説】給与を“○○ペイ”で「デジタル給与」払い 恩恵や補償は?

スマートフォンなどの「キャッシュレス決済」で給与も受け取れる“給与のデジタル払い”が、来年春以降、可能になる見通しであることがわかりました。専門家などによると、振込手数料が安くなるなどのメリットが期待できるとしていますが、デメリットは…。

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■給与を「○○ペイ」で ポイントなどの恩恵も期待

有働由美子キャスター
「スマホで簡単に決済できる『○○ペイ』ですが、この口座で“上限100万円”になるまで給与も受け取れる。このような“給与のデジタル払い”が、来年春以降、可能になる見通しであることがわかりました。すでに『ペイペイ』と『楽天ペイ』はサービスへの参入を検討しているということですが、小栗さん、メリットはなんですか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「今の給与の支払いは、『現金』か『銀行振り込み』などが原則ですが、これが、受け取る側が同意するのであれば、『○○ペイ』などで支払うことができる、つまり、利用者にとっては選択肢が増えるということになります」

「キャッシュレス決済に詳しい専門家などによると、毎回、チャージをしている人にとっては、その手間が省けるということになりますし、決済会社間のサービス・競争が激しくなれば、『うちを使えばお得ですよ!』ということで、ポイントなどの恩恵も増えることになるかもしれません。また、企業側にとっても、銀行よりも振込手数料が安くなることが期待されます。さらには、国としても、これでよりデジタル化が進めばお金の流れが把握できて、税金などの管理がしやすくなるということです」

■「デジタル給与」7割近くの人は慎重 万が一の補償は?

有働
「そうすると、やっぱり使用する人は増えていくんですか?」

小栗
「その点ですね、実際に『デジタル給与を利用したいか』、働く男女6080人に聞いてみると、3割以上が利用に前向きですが、7割近くの人は慎重な答えだったんです」※MMD研究所調べ/2022年6月24日から7月1日調査

有働
「実は私も、なんか…勝手にお金が減っていたりとかしないかという不安感があって『○○ペイ』はまだ使っていないんですが、お給料となると安全面はどうなるんですか?」

小栗
「その点、これまでも議論されてきましたが、銀行口座の場合は、仮に金融機関が破綻しても、一般預金などは1人あたり1000万円までとその利息が保護されます。でも、決済サービスの場合は各社、対応がバラバラです。今回の審議会では、『上限の100万円までは4~6営業日以内に残高の全額を補償する仕組み』を設ける方向となりました」

■便利な反面…中小企業はメリットよりもコスト増?

有働
「辻さん、この『デジタル給与』は広がると思いますか?」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「利用者としては、『○○ペイ』って決済も割り勘もスマホ1つでできますし、便利だなと思うんですけど…、給与も『○○ペイ』でとなると、銀行に加えて管理すべき口座が分散されてしまうので、ちょっと面倒に感じる方も中にはいるんじゃないかなと思います」

「企業側の視点で言うと、導入の事務手続きが増えたり、社員それぞれの意向を確認したりを考えると、特に中小の規模だと、手数料が安くなるメリットより導入コストの方がかかるのではないかと、今の時点では思いました」

有働
「なるほど。お金の価値観も、時代とともにどんどん変わっていますけど、これが普及するかどうかは、使う側の『お得感』、『便利感』、そして『安心感』がどこまで、ということになりますね」

(9月14日放送『news zero』より)