積もった雪で発電できる? 進む実証実験…融雪に活用で「一石二鳥」 東京都心でも積雪
2月5日から6日にかけて関東地方では大雪となり、東京都心でも8cmの積雪を記録した。「積もった雪」を利用して発電を行う「積雪発電」と呼ばれる仕組みの実証実験が進んでいる。(経済部 渡邊 翔)
2023年12月から2024年1月にかけ、「積雪発電」の実証実験が行われたのは北海道ニセコエリア・倶知安町にあるスキー場だ。スキー場を運営する東急不動産と青森県のIT企業フォルテ、さらに電気通信大学の研究者が共同で実施した。
■雪とボイラーの「温度差」を利用して…
積雪を使ってどのように発電をするのか。
発電機の中には、雪で冷やされた「低温部分」と、北海道産の木材チップを燃やすバイオマスボイラーを使った「高温部分」がある。この2つの部分の温度差によって磁石が上下にピストン運動し、電気が発生するという仕組みだ。発電の際にできる熱は、雪を溶かす「融雪」に活用。豪雪地帯の屋根の雪下ろしなどで転落・けがをするような事態も防げるという。
■スキー場のLED照明15台分を
実証実験施設で使われた発電機では、最大1200ワット(1.2kW)の出力が可能。これは1日発電を続けた場合、スキー場のLED照明15台を1日6時間動かせる電力に相当するという。
■元々は「雪を溶かす手段を…」
実験に関わる東急不動産の担当者は、「元々はスキー場施設内の歩道や駐車場に積もった雪を溶かす手段を考えていた」と話す。
積雪発電は、大規模な発電所のような電力量を生み出すわけではないというが、それでも雪を溶かす手段に発電という「副産物」がついてくるこの仕組みは、一石二鳥というわけだ。
実証実験を行った3者は今後、豪雪地帯などで雪を資源として使う再生エネルギー供給源として積雪発電の実用化を目指す。