高まるインバウンド熱 旅行会社では“大金使って旅行したい”問い合わせ相次ぎ…
日本では、去年10月に水際対策が緩和され、インバウンド需要復活の兆しが見え始めています。こうした中、東京都内にある旅行会社では、“大金を使って旅行したい”という問い合わせが相次いでいるといいます。
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31日、日本の空の玄関口、羽田空港の国際線到着ロビーには、多くの外国人の姿がありました。
オーストラリアから来た観光客
「東京に行ったあと、北海道のニセコに行ってスキーをする」
台湾から来た観光客
「私はマンガを買いたい」
去年10月に、個人旅行の受け入れ再開や入国時の検査を原則撤廃するなど水際対策が緩和された日本。観光庁によると、去年日本を訪れた外国人旅行者数は、前年の約15.6倍になりました。
【訪日外国人旅行者数(観光庁より) 2021年1月~12月:24万5862人 2022年1月~12月:383万1900人】
コロナ前のにぎわいを取り戻しつつある羽田空港。その国際線ターミナル直結の大型複合施設が31日、全面開業しました。
住友不動産 羽田統括部長・村田尚之さん
「外国のお客様は、もう何年も遠ざかっておりますので、より多くの(外国人の)お客様にきていただきたい」
立地を生かし、外国人観光客、いわゆるインバウンド需要を狙っているといいます。施設の中にあるかばんの専門店では、多くの言語を話せるスタッフを採用しています。さらに、スタッフが話せる言語が一目でわかるように、胸に国旗をつけています。施設の中央には、多くの言語に対応した観光案内所を用意するなど、外国人へのおもてなしの準備は万全です。
ドイツから来たという人は「おもてなしという文化は、あーいいですね。日本の人は優しい」と話し、日本のおもてなしが心に響いていました。
高まるインバウンド需要の熱。都内の旅行会社では、ある特徴的な外国人観光客からの予約が多いといいます。
シダーリンクトラベル 小杉丈治代表
「富裕層の方が結構、多いですね」
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本に来られなかった3年分の我慢を発散するかのように、“大金を使って旅行したい”という問い合わせが相次いでいるといいます。予約済みのツアーのスケジュールを見せてもらいました。
シダーリンクトラベル 小杉丈治代表
「まずは成田から東京の方に来ていただきまして、その後、京都の方に移りまして、今度は広島に行きまして、その後に沖縄に行きます」
9日間で東京から沖縄まで列島を縦断するもので、その値段は1人約50万円ということです。
シダーリンクトラベル 小杉丈治代表
「基本的には、約50万円のツアーになっています」
この会社では、欧米の団体客の問い合わせが増えているということです。
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こうしたインバウンド復活の兆しは、観光地でも見られます。
いろいろな種類のお酒を気軽に楽しめるバーがある北海道小樽市のホテルでは、台湾や韓国を中心に、海外からの観光客がコロナ前の約8割にまで戻ってきているといいます。
UNWINDHOTEL&BAR小樽 上田慎支配人
「規制が緩和されて、海外の方が徐々に回復している、お越しいただいている状況」
小樽市では、新型コロナの感染拡大前は毎年20万人以上の外国人が訪れ、宿泊していました。
【外国人の宿泊者数(小樽市調べ) 2018年度:23万2553人 2019年度:20万830人】
しかし、感染が拡大して以降、観光目的の外国人はほぼ0になっていました。こうした中、戻ってきた外国人観光客に、“小樽市民の台所”とも言われる市場では、喜びの一方で、不安もあるといいます。
南小樽市場協同組合 木川昌年理事長
「(新型コロナが)怖いっちゃ、怖いけど、そんなことも言ってられないし、ちゃんとマスクしてきてくれれば」
期待と不安が入り交じるインバウンド需要。各地で外国人観光客の受け入れに向け、準備が進められています。