【対策】値上がり続くたまご 鳥インフルの急増で今後の見通しは「エッグショック」再来防ぐには
鳥インフルエンザの影響で、食卓に欠かせない“物価の優等生”のたまごが、いまピンチを迎えています。じわじわと価格が上がり続けるなか、「エッグショック」の再来とならないよう対策も始まっています。
とろっとろのスクランブルエッグがあふれてくるオムレツサンドに、味玉をトッピングしたWたまごサンド。店の看板メニューです。
■阿部まみアナウンサー
「たまごがぎっしり詰まっていますね、おいしそう。」
■サブロクサンド・大野豊店長
「(たまご)6個ぐらい使います。かなり使うので、たまごがないと営業が難しいです。」
1日に使うたまごは100個以上です。仕入れ価格は3年前は20キロで5000円だったのが、最近では7000円に値上がりしています。
■大野店長
「物価がどんどん上がっているので、値上げをしないと苦しいところです。」
3年前と比べて、すべての商品を100円以上値上げしましたが、今後さらなる値上げも検討せざるを得ない状況です。
福岡市のスーパーを訪ねました。
■阿部アナウンサー
「きょうはたまごの特売日ということで、1パック215円で販売されています。」
300パックの数量限定で安くなっていました。しかし。
■買い物客
「以前は特売日には100円台で売られていたのが、いまはないですよね。もう慣れてしまって。」
このスーパーでは2024年12月から、特売日以外は1パック250円前後で販売しています。前年の同じ時期と比べると50円ほど高くなっています。
■買い物客
「もうちょっと安くてもいいよね。せめて50円くらい安かったら。毎日使うから。」
「やっぱりちょっと高いですね。お弁当に毎日使うので必須です。」
JA全農たまごによりますと、福岡のたまごMサイズ1キロあたりの卸売価格は、2024年2月には180円でしたが、2025年2月10日時点で288円まで上昇しています。史上最高値の345円をつけた2023年の「エッグショック」に迫りつつあります。
”物価の優等生”のたまごに何が起こっているのでしょうか。宗像市でたまごの生産販売を行う会社で聞きました。
■エミー・森田潤年代表
「鳥インフルエンザによって鶏卵業界が混乱しているというのが現状です。」
原因となっていたのは、鳥インフルエンザの急増です。今シーズン、千葉や愛知など14の道県で51事例が発生しました。1月は、過去最高だった2023年を上回りました。今後の見通しを聞きました。
■森田代表
「鳥インフルが1月、かなり発生していましたが、この状況が続くとさらに相場が上がる。たまごが足りなくなる可能性は十分ありえます。」
しかし、業界全体では2023年の「エッグショック」の経験を生かし、影響を拡大させないための対策をしているため、過度に不安になる必要はないということです。
こうしたなか、いま注目されているものがあります。
■日本ガストロノミー研究所 管理部 シニアアドバイザー・長野秀人さん
「これが全卵の液状のたまごです。」
このパン店で使っていたのは、液状のたまご「液卵(えきらん)」というものです。殻を取り除き、かくはんしたもので、使っているのは生たまごのみです。なぜ「液卵」を使っているのでしょうか。
■長野さん
「(液卵は)価格が安定しているので。」
殻付きも仕入れていますが、仕入れ値は時期によって変動します。いまは夏に比べ2倍になっている一方で、この「液卵」は価格が年間を通して安定しているといいます。
「液卵」を作る工場ではいま、問い合わせが急増しているといいます。業務用の「液卵」を製造するこの工場では、割った生たまごを殺菌し、その後、冷凍するため、2年間の長期保存が可能だといいます。
卸先はパンや菓子などの食品メーカーですが、食品業界ではすでに殻付きたまごの品薄が始まっていて、この先、起きるかもしれない「エッグショック」への不安で、「液卵」への問い合わせも急増しているというのです。
■イフジ産業 営業グループ長・原田宜高さん
「(食品メーカーから)『液卵を供給し続けられるのか』と問い合わせが来ていて、真摯に対応しています。」
食卓に欠かせないたまご。しばらくは価格の動向を気にする日々が続きそうです。