【TSMC】半導体の巨大企業が24日に熊本で開所式へ 福岡のメーカー「恩恵は十二分にある」人材獲得競争も?
台湾の大手半導体メーカーTSMCの国内初の工場の開所式が24日、熊本県で行われます。経済波及効果は20兆円とも言われていて、福岡の企業の期待感も高まっています。
24日、熊本県菊陽町で国内初の工場の開所式が行われるTSMCは、台湾に本社を置く世界大手の半導体メーカーです。時価総額はアジアの企業でとしてはトップで、あのトヨタ自動車の1.5倍の86兆円です。
九州経済調査協会は、TSMCの日本進出による九州への経済波及効果は、2021年からの10年間で20兆円にのぼると試算してます。
福岡の半導体メーカーの期待感も高まっています。福岡市西区の日清紡マイクロデバイス福岡を訪ねました。
■松原健介記者
「ここで半導体を作っている?」
■日清紡マイクロデバイス福岡・江藤美鈴さん
「そうです。奥の方に装置が並んでいて、それぞれ役割があります。」
福岡市のこちらの工場で製造しているのは、半導体に欠かせないウエハと呼ばれる基板です。
■江藤さん
「四角にスジが入っていますが、この一つ一つをチップと呼んでいます。」
この1ミリにも満たないチップが半導体で、エアコンやテレビといった電化製品の制御には欠かせません。
同じ半導体を作る世界屈指の企業が九州に進出することについて聞きました。
■江藤さん
「福岡・九州で半導体に対しての注目度が一段と上がったと思います。もちろん熊本の方が先に観光とか活発になると思いますが、福岡は世界の窓口というところもあるので、恩恵は十二分にあると思っています。」
期待するのは、半導体そのものに対する関心の高まりです。
■江藤さん
「学生が半導体という言葉で、半導体メーカーに就職を希望してくれるというのが非常に増えている。教育の面でも半導体製造や回路設計をカリキュラムに加えて、半導体人材育成に積極的に取り組んでくれているのは利点になっている。」
一方で心配していることもあります。
■江藤さん
「人材の話はしたのですが、競争・取り合いになる可能性もあると思います。全国から人材を集めることが必要かなと思います。」
急激な需要の高まりに、人材が追いつくのか懸念しているといいます。
半導体産業の一大拠点であるシリコンアイランド復活を目指す動きが九州で加速する中、福岡の“半導体熱”もますます高まりそうです。
【福岡県は半導体リスキリングセンターを開設】
懸念される人材不足ですが、すでに人材を育成する動きが始まっています。
福岡県は去年8月、福岡市早良区に「福岡半導体リスキリングセンター」を開設しました。ここでは大学の教授や企業の技術者が半導体を製造するために必要な技術などを教えています。
福岡県は5年間で2万5000人の半導体人材を育成することを目指しています。