中国軍ハッカー、日本の防衛“最高機密”に侵入か――米「強い不満と危機感」? 医療の混乱狙い、メール盗み見…やまぬ攻撃
ワシントンポストによると、中国軍のハッカーが日本政府の最高レベルの防衛機密を扱うシステムに侵入。それを日本側に伝えたアメリカには、強い不満と危機感があるとの見方もあります。後を絶たないサイバー攻撃。どう対策すべきなのでしょうか。
■狙われた「防衛計画」
佐藤梨那アナウンサー
「いざという時の私たちの身の安全に関わる怖い話です。日本政府の最高レベルの防衛機密を扱うコンピューターシステムに中国軍のハッカーが侵入していたと、アメリカのワシントンポストが報じました。落合さんはどう見ますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「入られてしまう時は入られてしまうのではないでしょうか…」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「なかなか防げませんね。狙われていたのは、最高機密である日本の防衛計画、実際の防衛能力で、取れるものは何でも取ろうとしていたといいます」
「この動きに気付いたのは日本自身ではなく、アメリカでした。『侵入されている、深刻な事態だぞ』とホワイトハウスから日本政府に伝えてきたといいます」
佐藤アナウンサー
「日本が自分で気付かないのを、アメリカが気付いたということですか?」
小野委員
「そうです。アメリカは日本以上に目を光らせているということです。では、アメリカは何を心配しているのでしょうか。安全保障が専門の小谷哲男・明海大学教授に聞きました」
「小谷教授によると、アメリカは日本と機密情報を共有できることになっています。例えば中国軍の兵器の能力の評価や、中国の潜水艦の位置情報、通信を傍受した内容、偵察機を飛ばして得られた情報など、生々しいものがあります」
「ただ、これを日本に伝えたとしても、もし日本のセキュリティーが甘ければ中国に筒抜けです。『日本は大丈夫か? セキュリティー改善されていないのではないか』という、強い不満と危機感が今も国防総省の中にあるのではないか、と小谷教授は話しています」
佐藤アナウンサー
「日本はさらに対策に力を入れてほしいと、アメリカが促しているということですね」
小野委員
「(中国軍ハッカーによる)サイバー攻撃は依然として防ぎきれていません。オーストラリアに対するサイバー攻撃は、医療など公共サービスを狙っています」
「そして7月も、アメリカの閣僚や外交官のメールが盗み読まれていた、ということが分かったといいます。日本の防衛機密は十分に標的になり得ます」
「松野官房長官は8日、『サイバー攻撃によって防衛省が保有する秘密情報が漏えいした事実は確認していない』と述べています。日本政府もサイバーセキュリティー強化に重点を置いているとところです」
佐藤アナウンサー
「どのように対策を強化していけるのでしょうか?」
落合さん
「こういう事態に完全に対策するのは、かなり難しいと思います。中国本土からインターネット回線を通してハッキングをした、というだけの話ではないかもしれないなと思っています」
「例えば、機密情報を扱っている人が誰なのかが分かれば、その人のオンラインの行動を監視するなどしてパスワードを盗むなどができるかもしれないし、逆に言うと、スパイが接触してくる可能性もあります」
「完全に防ごうと思うと、例えば権限がある数人が同時にいないとアクセスできないなどの方法もありますが、セキュリティーの強固さを求めると利便性を下げる結果にも比較的つながりやすいです」
「ただ最高機密ですので、残念ながら起こってしまったことを前提に、いろいろ対応していくしかないかなと思います」
佐藤アナウンサー
「なかなか難しいということですね」
落合さん
「とても難しいと思います」
(8月8日『news zero』より)