アメリカ中間選挙まで後1週間 勢いづくトランプ派候補 民主党は“バイデン隠し”…切り札は?
アメリカ中間選挙まで後1週間となりました。最終盤になって、野党・共和党のトランプ派候補が勢いづいています。一方、与党・民主党は、“バイデン隠し”の選挙戦略に加え、劣勢挽回の切り札として“あの人”も投入されました。
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先月28日、激戦が続くアメリカ・ジョージア州で開かれた民主党の集会では、支持者たちが、鳴り響く音楽に合わせ体を揺らし、リズムに乗っていきます。超満員の会場で、支持者たちの大歓声に迎えられて入ってきたのはオバマ元大統領。劣勢の民主党の“切り札”として登場しました。
民主党 オバマ元大統領
「民主主義を救う唯一の方法は、私たちが共に育み戦うことだ。そのために2年前、あなた方はジョー・バイデンをホワイトハウスに送り込んだのだ」
選挙戦の最終盤、不人気のバイデン大統領に代わって、オバマ元大統領が「民主党の顔」をつとめています。
民主党 オバマ元大統領
「ウォーカーはアメフト選手としては一流だったが、上院議員にふさわしい人物かは疑問だ」
厳しい口調で批判したのは、共和党から出馬しているウォーカー候補についてです。アメリカンフットボールの元スター選手で、トランプ前大統領から推薦を受けるトランプ派の候補ですが、選挙では「中絶反対」を主張しながら、自身は元交際相手に中絶を強要した疑惑が浮上したのです。
共和党 ウォーカー候補
「中絶の報道はインチキです。ウソなんです」
バイデン政権の行方を左右しかねない、激戦ジョージア州で起きた“中絶強要”スキャンダル。ウォーカー候補は、先月27日の集会で支持者の歓声に笑顔で応じ、「私は皆さんのために戦います。戦う用意はできています」などと、早口でまくし立てる独特の演説で聴衆を盛り上げました。
私たちは演説終了後、本人を直撃しました。記者との握手には応じたものの、陣営スタッフが徹底ガード。もう一度試みると、携帯で私たちの姿を記録するなど、取材には徹底した警戒ぶりを見せていました。中絶をめぐる報道に、かなりピリピリしている様子でした。
この「中絶疑惑」について、共和党の支持者たちはどう受け止めているのでしょうか。
共和党の支持者
「ウソだと思う、ウソよ」
「信じない、ウソ」
「作り話! 民主党の言っていることは信じない!」
尋ねた支持者のほとんどが、「中絶疑惑は虚偽」で「ニュースは信じない」と回答しました。
ウォーカー候補の支持率は、疑惑が報道された直後こそ下がったものの、その後は急回復。スキャンダルをものともせず、先週末、ついに民主党候補を逆転しました。その要因となっているのが、生活を直撃するインフレに対する強い不満です。
ジョージア州の住民
「みんなの生活はどんどん苦しくなってる。バイデン政権のせいよ」
「インフレの責任は大統領にあるわ」
その矢面に立つバイデン大統領は、日本時間1日朝、ホワイトハウスでハロウィーンのイベントを主催しました。週末も地元の自宅や別荘で過ごして、応援演説にはほとんど出向かず、自身への批判が候補者に及ばないよう“存在感”を消しています。
その一方で、静かに過ごす夫とは対照的に、ファーストレディーのジル夫人は、週末も含めて応援演説に駆け回っています。民主党は、不人気の大統領の露出を避ける「バイデン隠し」の選挙戦略をとり、オバマ氏やジル夫人が「選挙の顔」になっていました。
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中間選挙まで残り1週間。最新の世論調査では、野党・共和党が下院で優勢、接戦の上院でも勢いを増していて、バイデン大統領は苦しい戦いが続いています。