北朝鮮“27万人”新たに発熱 航空機が中国に入り…医薬品運んだか
新型コロナウイルスの感染が急速に広がっている北朝鮮では、新たに1日で約27万人が発熱するなど、拡大に歯止めがかかっていません。こうした中、韓国メディアは、北朝鮮側が中国から複数回にわたり、医薬品を運んだとみられると伝えています。
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北朝鮮の国営テレビは、17日も予定を前倒しして放送を開始しました。16日は、金正恩総書記が薬局を複数まわる様子が放送されましたが、17日は、またも薬局が登場し、「私たちが薬を用意して移動し、住民に供給することも行っています」と話す様子が放送されました。
北朝鮮では、16日午後6時までの1日で、新たに約27万人の発熱者が確認され、累計で148万人以上が発熱したとされています。死者は6人増え、56人になったということです。
北朝鮮の医療体制はどういうものなのか。2008年にかけて、これまでに3回北朝鮮を訪れたことがあるという韓国の医師に話を聞きました。
ソウル大学・統一医学センター 文振洙所長
「当時、(病院では)ビール瓶や焼酎瓶を点滴用の瓶として代用していました」
15年ほど前は、北朝鮮の医療状況は、点滴の道具すらそろわない劣悪な環境だったといいます。
文所長
「特に地方では、その環境がより一層劣悪で、『家で、民間療法で治療しろ』ということが多くの指針になっているので、大変、懸念される状況です」
北朝鮮の国営テレビでも、コロナへの有効性に疑問符がつく民間療法が、放送で紹介されていました。
発熱し回復したとされる人
「民間療法が1番です」
「塩水で口をすすぎ、ヨモギを燃やし、お酢で消毒」
現在、北朝鮮では56人がコロナで死亡したとされています。
文所長
「ワクチン接種ができていなく、栄養状態がとても悪い北朝鮮の状況を考慮したら、10万人以上亡くなるリスクはあるものとみられる」
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カギとなるのが医薬品ですが、新型コロナの感染拡大で、北朝鮮は2020年、中国との国境を閉鎖しました。今年に入り陸路での輸送を一時再開したものの、先月からは再び中断した状態です。
最近の国境近くの映像でも、北朝鮮側に人の姿は全く見えません。
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17日付の「労働新聞」では、金総書記の命令で、平壌での医薬品の供給を安定化させるため、16日、朝鮮人民軍が投入されたと伝えました。また事態打開のためか、韓国メディアによると、北朝鮮の航空機が17日にかけて複数、中国に入り、医薬品を運んだとみられるということです。