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米国の経済、今年はどうなる?記者が報告

2010年1月2日 1:21

 金融危機から1年、アメリカの経済成長率は去年、プラスに転じ、アメリカ経済は最悪期を脱したとみられている。しかし、失業率は依然2ケタと高止まりが続いている。今年のアメリカ経済はどうなるのか、ニューヨーク支局・正田千瑞子記者が報告する。

 ニューヨーク恒例のタイムズスクエアのカウントダウン。今年は看板に“異変”があった。去年、一時的に破たんしたアメリカの自動車大手「ゼネラル・モーターズ(GM)」の看板が消え、同じ場所を韓国のメーカーが買い取った。

 オバマ大統領が就任した去年は、アメリカ経済にとって波乱の一年だった。大恐慌以来の危機を救うため、オバマ大統領は就任早々、過去最大となる70兆円規模の景気対策を打ち出した。また、異例のゼロ金利政策を1年以上も続けている。矢継ぎ早に出したこうした対策の成果もあり、「危機」と言われた金融市場は落ち着きを取り戻しつつある。株価は、去年10月に約1年ぶりに1万ドル台を回復。年末までに大手金融機関は相次いで公的資金の返済を発表した。

 アメリカの経済成長率は、去年第3四半期に2.2%のプラス成長を達成し、07年12月から始まった戦後最長の景気後退を脱したように見える。オバマ大統領は先月、金融機関大手のトップをホワイトハウスに招き、今後は中小企業に積極的に融資するよう呼びかけた。

 しかし、アメリカ経済にとって最大のネックの一つは雇用問題だ。失業率は去年、26年ぶりに10%を超え、しばらくは高止まりが続くとみられている。大手金融機関は健全化に向かっているとはいえ、不良債権は依然高水準で、貸し出しはなかなか伸びない状態が続いている。去年破たんした金融機関は過去最大規模の140行にも及んだ。

 こうした中、アメリカのGDP(=国内総生産)の7割を占める個人消費もまだかつての元気を取り戻したとは言えない。今年は最大の課題である雇用を創出し、危機からどう成長路線に転換していくのかが焦点と言えそうだ。