カナダ「報復関税」発表 “トランプ関税”日本企業にも警戒感…相談窓口も
アメリカのトランプ政権がカナダに関税を課すことに対抗して、カナダがアメリカへの報復関税を発表しました。この“トランプ関税”への懸念で日経平均株価が一時1100円を超える大幅な下落となり、日本企業にも警戒感が広がっています。
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カナダのトルドー首相が矛先を向けたのは、アメリカのトランプ大統領です。
トルドー首相(53)
「トランプ大統領がアメリカの新たな黄金時代を築きたいのであれば、カナダを罰するのではなくカナダと協力することがより良い道である」
アメリカからの輸入品に25%の関税を課すことを発表しました。そのワケは、トランプ大統領が署名した大統領令。アメリカの輸入相手国上位のカナダ・メキシコに25%、中国に10%の追加関税を4日から課すものです。
ホワイトハウスは理由として、合成麻薬フェンタニルが中国からカナダ、メキシコを経由してアメリカに流入していることを挙げています。カナダの動きは、この関税への対抗措置だったのです。
さっそくカナダ国内のリカーショップでは…
「アメリカの酒はもう販売していません」
「代わりにカナダのものを買おう」
一部の州では、アメリカ産の酒を店頭から撤去する動きも出てきています。
こうしたカナダの報復に対し、トランプ大統領はひるむどころか「もし(カナダが)報復したければかまわない。いくらでも付き合う」と述べました。
反発はカナダだけでなく、メキシコのシェインバウム大統領もSNSで「関税や非関税の措置を盛り込んだ対抗策の実施を指示した」としたほか、中国政府も「相応の措置を取って、自らの権益を守る」として、報復関税の可能性を示唆しました。
トランプ大統領(78)
「あすの朝、カナダのトルドー首相と話しメキシコとも話す。あまり劇的な変化は期待していない」
影響は株価という形で、日本にも及んでいます。週明けの日経平均株価は、一時1100円を超える大幅な下落となりました。
カナダやメキシコに工場があるトヨタや日産など、日本の自動車メーカー各社の株価も軒並み下落し、日本企業にも警戒感が広がっています。
日本商工会議所の小林会頭は「日本経済への影響は多大ですよね。(日本企業は)メキシコ・カナダを介した貿易をこつこつ積み上げてきていた。だけど、それが根底から変わる可能性がある」と述べました。
日本企業への影響はどこまで広がるのか、JETRO=日本貿易振興機構で聞きました。
JETRO調査部米州課 磯部真一課長代理
「最終的にアメリカにモノを輸出して稼ぐ、そういったビジネスモデルを構築している企業にとっては甚大な影響が出るかなと」
JETROは3日から日本企業の相談窓口を設置。すでに10件を超える相談があったといいます。
JETRO調査部米州課 磯部真一課長代理
「取引先にこの関税のコストを転嫁しようと考えているが、ほかの企業がどういう対応をしているか」
今後、“トランプ関税”が他の国や地域、品目別の関税にも広がる懸念もあると指摘します。
JETRO調査部米州課 磯部真一課長代理
「今回はこういった(トランプ大統領による)壮大なモグラたたきの始まりに過ぎないという見方もできるのでは」
(2月3日放送『news zero』より)