ヨーロッパで「過去500年で最悪の干ばつ」 オリーブオイル値上げ危機…農家“諦めの気持ち”
ヨーロッパが「過去500年で最もひどい干ばつ」に襲われています。イタリアでは、日本も輸入しているオリーブオイルが危機に陥り、値上がりする可能性も出てきています。イタリアのオリーブ畑の農家は「もはや諦めの気持ちしかありません」と話します。
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イタリア北部では、観測史上最悪の干ばつに見舞われています。ロンバルディア州で25日、本来はまだ花を咲かせているはずのヒマワリが、暑さと乾燥のためか、しおれていました。畑一面のトウモロコシも、全て枯れていました。
さらに、イタリア最大の河川・ポー川では水位が大きく低下し、通常の10分の1ほどに下がっているといいます。
後閑駿一記者
「普段は、このあたり(の川岸)まで水があるということですが、今は砂浜のように干上がっていて、川幅も狭くなってしまっています」
ポー川の港の責任者
「ボートと観光船は運航できなくなりました。こんな(低い)水位は見たことがありません」
観光船は運航できず、休業を余儀なくされていました。
この異常気象で、思わぬトラブルも発生しました。干上がった川から、第二次世界大戦当時の不発弾が発見されたのです。住民3000人が避難し、軍の爆弾処理班が出動する事態となりました。
この干ばつはヨーロッパ全土を襲っていて、EU(ヨーロッパ連合)の研究所も「過去500年で最もひどい干ばつに直面している」と強い警戒感を示しています。
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この干ばつが、日本の食卓にも影響を及ぼす可能性があります。2021年の農林水産物輸出入概況によると、イタリア産オリーブオイルは日本が輸入するオリーブオイルの約3割を占めています。原材料となる「オリーブの実」の生産量が減って、値上がりする可能性が出ているのです。
イタリア料理店 シェフ
「全ての材料が値上がりしている中で、オリーブオイルも値上がりしたら、料理の値段も少し高くなるでしょう」
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実際にどのような被害が出ているのでしょうか。私たちはオリーブの名産地・イタリア中部・トスカーナ州へ向かいました。26日、オリーブ畑を見せてもらうと、乾燥に強いオリーブの実がカラカラになっていました。
オリーブ農家
「2か月間、雨が降らなかったせいで、オリーブの実が落ちてしまい。このように収穫まで至りませんでした」
さらに今月に入って、季節外れのひょうが降り、何とか育っていた実にも大きな傷が付いていました。この農園では今年、オリーブの生産量が昨年と比べて80%減少するとみられています。農業者協会によると、トスカーナ州全体でも最大50%減る見込みです。
オリーブ農家
「干ばつの被害を受けて悲しいですし、もはや諦めの気持ちしかありません」
今後も西ヨーロッパを中心に11月頃まで乾燥した気候が続く予報が出ていて、干ばつの影響がさらに拡大する懸念が高まっています。