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米国務長官、スー・チーさん会談 記者報告

2011年12月3日 9:09

 ミャンマーを訪問していたアメリカ・クリントン国務長官は2日、民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チーさんと2時間にわたって会談、ともにミャンマー政府に対し、民主化を迫っていく姿勢を明確に示した。首都・ヤンゴンで取材にあたった山下雄三記者が報告する。

 世界的に有名な女性政治指導者2人の会談は、スー・チーさんが軟禁されていたヤンゴンの自宅で行われ、ミャンマーの民主化問題への取り組みについて話し合われた。会談を終えた2人は打ち解けた様子で会見に臨み、話し合いを通じて互いに信頼関係が生まれたことをうかがわせた。

 クリントン長官のこうしたスー・チーさんとの親密ぶりのアピールは、国会の補欠選挙への立候補を表明し、政治に関わる意思を見せたスー・チーさんへの支援の表れと同時に、ミャンマーの政権に対して、さらに民主化を進めるよう圧力をかける狙いもあるものとみられる。

 クリントン長官は今回の訪問中、何度も「ミャンマーとともに歩む用意がある」と発言し、教育などへの支援を表明した。しかし、ミャンマー政府が望む経済制裁の解除については「(民主化の)十分な進展が見られれば、制裁解除の準備をするが、今は協議する段階ではない」と述べ、その可能性に触れつつも慎重に見定める姿勢を通した。

 アメリカは今回、国務長官の56年ぶりとなる訪問によって、ミャンマー政府の改革姿勢に一定の評価を与えた。一方で、今後の関係改善は、ミャンマー側の出方にかかっていることも改めて突きつけた。