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大韓機“ナッツ・リターン”激怒の趙氏謝罪

2014年12月12日 23:45
大韓機“ナッツ・リターン”激怒の趙氏謝罪

 大韓航空の前副社長が今月5日、自社の乗務員のサービスに激怒し、動き始めていた航空機を引き返させていた問題で、12日、前副社長が謝罪した。検察が大韓航空本社の家宅捜索に踏み切る事態に発展したが、前副社長が激怒したのは機内でのナッツの配り方だった。

 韓国・ソウルにある金浦国際空港の近くで大勢の報道陣が待ち受ける中、大韓航空の趙顕娥前副社長が、調査に応じるために、韓国の国土交通省に到着した。

 大韓航空・趙顕娥前副社長「みなさま、ご心配をおかけし、心よりおわび申し上げます。申し訳ありません」

 うつむいたまま小さな声で謝罪したのは、韓国・大韓航空の趙顕娥前副社長。この趙前副社長のとった行動がいま韓国で問題になっている。

 今月5日、アメリカ・ニューヨークから、韓国・仁川に向かった大韓航空機。滑走路に向かい動き出したとき、騒動が起きた。告発した市民団体によると、ファーストクラスに搭乗していた趙前副社長は、袋のままマカダミアナッツを持ってきた客室乗務員に対し、「マニュアル違反」だと激怒。大韓航空の広報は、ファーストクラスでは、ナッツは袋から出し皿にのせて出すのが規則となっていたという。

 そして、怒った趙氏のもとに駆けつけた機内サービスの責任者がマニュアルについて正確な回答ができなかったため、さらに、大声をあげてののしったという。

 大韓航空・趙顕娥前副社長「早く機長に連絡して、お前は降りろ!」

 そして飛行機を引き返させ、責任者を降ろしてから出発した。飛行機は11分遅れで韓国・仁川に到着。

 この事態に、韓国・検察当局は、趙前副社長の行為が航空法などに違反する疑いがあるとして、11日、大韓航空本社の家宅捜索に踏み切った。

 航空法では、安全上、機長のみが乗務員や乗客への指揮・監督を行うと規定されている。乗客として搭乗していながら航空機を引き返させた趙前副社長の行為は、航空法に違反する疑いがもたれている。

 この問題に韓国・ソウルでは…。

 ソウル市民「いくら(前)副社長といっても、常識外れな行動だと思う」「飛行機を自分のものだと思ったんでしょうね」「金持ちの横暴ではないか」

 韓国メディアも、批判の声をあげた。

 ハンギョレ紙(12月9日付)「“大韓航空は自家用?”降りるべきは乗客の趙顕娥」

 中央日報(12月9日付)「趙顕娥の“ナッツ・リターン”」

 韓国メディアが「ナッツ・リターン」と批判した今回の問題。通常、袋のままナッツを出すことはあるのだろうか。

 ウィングアカデミー元客室乗務員・中野奈奈講師「通常はお客様にお手間をとらせないため、お皿に移して出しますが、今回は離陸前ということで、保安の関係上、袋のままお出ししたと考えられます」

 離陸前は、袋のまま出すこともあるという。

 大韓航空会長の娘だという趙前副社長。騒動が発覚した当初、大韓航空側は、趙前副社長の指摘は当然だとしていたが…。

 趙前副社長の父・大韓航空の趙亮鎬会長「私の娘の愚かな行動により、物議を醸したことを心から謝罪します」「私を叱(しか)って下さい。私の教育が間違っていたようです」

 告発した市民団体は、「法律や常識があるのに、財閥の一員というだけで全てを無視した行動だったのではないか」と話した。

 騒動をを受け12日、趙前副社長は、韓国・国土交通省の調査をうけるため出頭した。

 趙前副社長「すべての経営一線から退きます。ほかの計画はありません。(Q:事務長や乗務員に直接謝る気はありますか?)心からおわび申し上げたいです。直接会って」

 今後、検察は、趙前副社長本人からの事情聴取も検討している。