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2015年 どうなる中東和平交渉

2015年1月1日 21:05

 2014年、イスラエルとパレスチナ自治政府の中東和平交渉は深刻化の一途をたどった。交渉はパレスチナ国家の樹立を視野に、2013年7月からアメリカの仲介により再開されていたが、具体的な成果は挙げられず、再び中断。

 2014年4月には交渉期限を前に、パレスチナ自治政府のアッバス議長が率いる主流派の「ファタハ」とガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織「ハマス」が統一政府の発足で合意。「ハマス」をテロ組織と捉え、交渉相手として認めないイスラエルは強く反発した。

 そして、2014年7月に始まったイスラエルによるガザ地区への攻撃。大規模な地上作戦が行われ、2100人以上が死亡した。イスラエルは「テロリストを狙った」と主張していたが、ガザの街は無差別に破壊され、犠牲となったのは多くが子供たちなど一般市民だった。

 さらに秋頃にはエルサレムの「聖地」をめぐり、一触即発の事態となった。この聖地は、イスラム教徒が「ハラム・アッシャリフ」、一方のユダヤ教徒は「神殿の丘」と呼ぶ。2000年に当時のイスラエル・シャロン党首が強行訪問し、第2次インティファーダの発端となった場所である。衝突を避けるためユダヤ教徒の礼拝が禁じられているものの、2014年10月に右派のユダヤ教徒が礼拝を強行するなどしてパレスチナ側との衝突に発展。双方の間ではこの後も散発的に殺傷事件が発生するなど、報復の連鎖は止まらない。2015年も当事者間で和平交渉再開の機運が生まれることは難しい情勢だ。

 イスラエルでは2015年3月、議会選挙が行われるが、地元メディアの分析によればネタニヤフ首相が率いる強硬派の与党「リクード」が選挙戦を優位に進めるものとみられる。また、パレスチナでは相変わらず自治政府内の足並みがそろっていない。2014年夏のガザ戦闘でも、自治政府のアッバス議長はハマスの行動をコントロールできずに停戦交渉は長期化。アッバス議長の求心力は低下していると言え、和平交渉のマイナス要因となっている。

 さらに仲介役のアメリカも、オバマ大統領率いる民主党が中間選挙で敗れレームダック化。交渉再開に意欲を見せているものの、推進力の低下は否めない。多くの犠牲を出しながら対立を深める両者、交渉の糸口が見いだせない中、歩み寄りの兆しは見えてこない。