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治安維持道筋は…試練のアフガン2015年

2015年1月2日 20:58

 アフガニスタンの首都・カブールで先月28日、節目の式典が開かれた。アメリカ軍などからなる(ISAF=国際治安支援部隊)が戦闘任務を終えることを記念するものだ。2001年のアメリカ同時多発テロをきっかけにタリバン政権を攻撃して崩壊に追い込んだアメリカ軍はNATO(=北大西洋条約機構)とともにISAFを結成し、13年以上、治安の維持にあたってきた。

 ISAFからアフガニスタン政府に治安権限が引き渡された2015年は、前年9月に就任したばかりのガニ大統領にとって試練の年となる。ガニ大統領は世界銀行で勤務した経験があり、経済に強い国際派と評されるが、就任演説で強調したのは経済政策よりも治安維持だった。しかし2014年11月にはカブールでイギリス大使館の車列を狙った自爆テロが起き、イギリス人警備要員が死亡。東部・パクティカ州ではバレーボール大会会場での自爆テロで観客ら50人以上が死亡した。

 国連によると、アフガニスタンでの民間人の死者は2013年は2959人、負傷者は5656人に上ったが、2014年はさらに悪化したとみられている。ISAFの戦闘任務終了に際して声明を発表したアメリカのオバマ大統領は「アメリカの歴史上、最も長い戦争は責任ある終わりを迎えつつある」と意義を強調したが、「戦争の終わり」にはほど遠い状況だ。

 アメリカとNATOはアフガニスタン治安部隊の訓練などのため、2015年も1万2000人以上を駐留させることにしている。ただ、オバマ大統領は2016年末にはアメリカ軍を完全撤退させる意向だ。

 長引く戦闘に国際社会の視線も冷めている。アフガニスタン政府だけで治安を維持するのが事実上、不可能な中、ガニ大統領は「タリバン」などの反政府勢力と和平の道を模索している。しかし、「タリバン」はISAFの縮小に乗じてむしろ攻勢を強めていて、和平協議に応じる気配はない。ガニ政権自体、大統領選で対立候補と激しく争った亀裂が残っていて一枚岩ではない。ガニ大統領がリーダーシップを示すことができなければアフガニスタンは自立した国家としての道筋を示すどころか、分裂への危機さえはらんでいる。