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トランプ氏「法廷寒すぎる」……裁判で“抵抗”の戦略? 被害者アピールも 麻生氏がトランプタワーへ?【#みんなのギモン】

2024年4月23日 9:47
トランプ氏「法廷寒すぎる」……裁判で“抵抗”の戦略? 被害者アピールも 麻生氏がトランプタワーへ?【#みんなのギモン】
アメリカの大統領選が11月に控える中、4つの事件で起訴されたトランプ氏の裁判が本格化しています。トランプ氏は「公正な裁判ができない」「選挙妨害だ」と、抵抗を見せています。各国の要人はトランプ氏を訪ねていますが、背景に何があるのでしょうか?

そこで今回の#みんなのギモンでは、「裁判本格化 トランプ氏の“戦略”は?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●“抵抗”続け選挙に利用も?
●麻生副総裁 トランプタワーへ?

■米大統領経験者が初の「被告」に

富田徹・日本テレビ解説委員
「トランプ前大統領の裁判が、本格的に始まりました。アメリカの大統領経験者が史上初めて、刑事事件の被告となった裁判です。今行われているのは、トランプ氏がいくつか抱える裁判のうち最初の裁判で、日本時間の22日夜、冒頭陳述が行われます」

「一方で自民党の麻生副総裁は22日午前、アメリカに向けて出発しました。関係者によると、現地でトランプ氏と会談する方向で調整しているということです」

森圭介アナウンサー
「11月に大統領選を控える中で、この裁判の結果が選挙にどういう影響を与えるのか。アメリカだけではなくて世界中が注目していますよね」

■トランプ氏が起訴された4つの事件

富田解説委員
「各国が注目していますよね。まずはトランプ氏の裁判について改めて整理します。起訴されているのは4つの事件。22日に冒頭陳述が行われるのは1つ目で、2016年の大統領選挙直前に、不倫の口止め料の支払いをめぐって、業務記録を改ざんしたとされる事件です」

「2つ目は2021年に大統領を辞める際、核計画に関する情報などが含まれる機密文書を持ち出し、自宅に保管していたとされる事件。3つ目は、大統領選挙の結果を覆そうと画策したあげく、支持者が議会を襲撃した事件です」

「4つ目はジョージア州の選挙で負けたのをひっくり返そうと、州政府に圧力をかけたとされる事件。事件としてはこの4つですが、91の罪に問われています」

■トランプ氏、裁判を遅らせようと抵抗か

鈴江奈々アナウンサー
「91もの罪に問われているとなると、まだ1つ目の裁判が始まったばかりなので、いつぐらいまで続く見通しなんでしょうか?」

富田解説委員
「本当に分かりませんが、1つ目の裁判だけで6~8週間かかると言われていて、評決は早くても6月ということです。長引いている原因の1つが、トランプ氏側が裁判をなるべく遅らせようと抵抗している点です」

「15日の初公判の後、トランプ氏はカメラに向かって『これは詐欺だ。いつまでも続く政治的なもので、公正な裁判は受けられない。これは選挙妨害でもある』と発言しました」

「他にも裁判の延期を要請したり、裁判の行われるニューヨークはトランプ氏に批判的な人が多いため『公正な陪審員を選出できない』と場所を変えるよう要求したりしています」

「『法廷内が寒すぎる』という発言もありました。寒がっているのか抵抗戦術なのか分かりませんが、トランプ氏としてはとにかく裁判を遅らせて、大統領選への影響を最小限にとどめる狙いがありそうです」

■3月にかかった弁護士費用は7億円超

斎藤佑樹キャスター
「裁判を遅らせるということですが、早く終わらせた方がいいんじゃないですか?」

富田解説委員
「確かにその見方もあります。裁判を抱えながらの選挙戦は、トランプ氏にとって大きなハンデになります。1つはお金の面です。アメリカメディアによると、トランプ氏の3月の1か月の弁護士費用は490万ドル、日本円で約7億5800万円でした」

「トランプ氏側は今後の弁護士費用として、さらに680万ドル(約10億5000万円)は確保していたとしても、毎月これだけかかってくると、すぐに資金繰りが厳しくなる可能性があります」

「そうすると選挙にかけるお金が足りなくなり、バイデン陣営と差がついてしまうことになります」

■裁判まで…選挙に利用する戦略か?

富田解説委員
「一方で、裁判すら選挙に利用してしまおうという戦略も取っています。20日にはトランプ氏のSNSで『バイデン陣営の悪党たちが司法と結託して、我々を政治的に攻撃している』と投稿。自分は被害者だとアピールしています」

河出奈都美アナウンサー
「資金面ではかなりデメリットがありそうな気がしますが、有権者に対してはこの被害者アピールというのが刺さるということなんでしょうか?」

富田解説委員
「トランプ氏の支持者にとってはすごく刺さるようで、被害者と信じてしまう。これはトランプ氏のよくやる戦術です」

森アナウンサー
「そもそも裁判が終わっていない状態でも、有罪判決が出てしまっても、大統領になれるのでしょうか?」

富田解説委員
「仮に有罪判決が出ても大統領選に出られるし、選挙に勝てば大統領に就任できるという解釈なんです」

「というのも、大統領選に出るにはアメリカ生まれ、アメリカで 14 年以上暮らしている、35歳以上といった条件しかつけられていません。それに合致すれば大丈夫です。また勝てば、自らの罪を恩赦する可能性も指摘されています」

■安倍氏の時のように…保険かける狙いも

富田解説委員
「トランプ氏とこのタイミングで会談を調整している、麻生副総裁の狙いについて考えます。外務省関係者は『“もしトラ”の動きだろう』と話します。もしもトランプ氏が勝ったら、を意識した動きだろうとみています」

「これまでトランプ氏と話せる関係といえば亡くなった安倍元首相でしたが、麻生副総裁は2人の会談に同席したこともあります」

■「麻生さんの方が性格的には合う」?

「そして、岸田首相が今さすがにバイデン大統領を差し置いてトランプ氏と接触するわけにはいかないので、麻生副総裁の出番ということもあります」

「ある外務省関係者からは『麻生さんの方が性格的には合うかも』という見方も出ています。互いにゴルフ好きというのもあって相性の良さを期待する声も上がっています」

「政府関係者は『岸田首相のメッセージを伝えることになるだろう』という見方を示しています。もし当選したら『よろしく』と、安倍元首相の時のように保険をかけておく狙いもありそうです。会談が実現した場合には、トランプタワーで行われるとみられています」

斎藤キャスター
「あらゆる想定をして動く、ということですよね。トランプ氏だからという側面もあるんですか?」

富田解説委員
「やっぱりそこはありますね。他の人と違ってトランプ氏が大統領になった時の“ひっくり返り感”というか、振れ幅が大きいので、なるべく早めに前もって少しでも話しておきたいという心理ですね」

■ポーランド、イギリス…他国の要人も

富田解説委員
「こういう“もしトラ”の動きは、他の国々にも出ています。ポーランドの大統領やイギリスの外相も、トランプ氏に会いに行っています」

「イランとイスラエルの問題など国際情勢が緊迫しているので、仮にトランプ氏が返り咲いたらどうなるのか、その際にどう動くのかを各国とも気になってしょうがないという点があるようです」

鈴江アナウンサー
「振れ幅が大きく、結果次第で世界に大きな影響を与えるとみられています。一方で今回のトランプ氏は敵対構造をつくるという戦い方でいうと、司法が対立軸になっています。国内で裁判が長引くことで、分断がより深刻にならないかという影響も心配されますね」

富田解説委員
「そこも懸念点になっていますよね。今回の裁判では、トランプ氏は不倫そのものを否定するなど全面的に争う姿勢で、法定でも自らの潔白を訴える方針です」

(2024年4月22日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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