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“新幹線”は選ばれるか?米・高速鉄道計画

2015年5月8日 17:13
“新幹線”は選ばれるか?米・高速鉄道計画

 アメリカの鉄道では近年、日本の車両メーカーの大型受注が相次いでいる。この実績を武器に次に狙うのは“新幹線の輸出”。日本の成長戦略のひとつインフラ輸出の試金石となるのだろうか。

 先月30日、安倍首相の姿は、アメリカ・カリフォルニア州のサンフランシスコにあった。カリフォルニア州知事を案内した部屋には、日本から空輸した“新幹線”のシミュレーターが。高速鉄道の建設計画が進むカリフォルニア州に“新幹線”を売り込もうと、トップセールスを行っていたのだ。

 サンフランシスコからロサンゼルスまでの約840キロを3時間以内で結ぶアメリカ初となる高速鉄道計画。現地ではすでに用地の整備がはじまっていた。車両の入札に向け、ドイツやフランス中国など11の企業や団体が受注競争を繰り広げているということだ。車両の入札は、今年秋にも行われる予定で、日本からは、JR東日本と川崎重工などが代表チームとして参加しているが、他にもドイツや中国など6か国が名乗りをあげている。

 この街では通勤などに使われる電車はすでに走っている。しかし、単線で貨物列車と同じ線路を使うため、スピードが出せない上に遅れも日常茶飯事だ。取材した日も、電車は30分遅れで到着した。高速鉄道だけでなく、在来線でも日本の鉄道事業は存在感を増している。飛行機や車の移動が多く、鉄道事業が大幅に遅れているアメリカ。日本企業にとっては、魅力的な市場なのだ。先月には、首都・ワシントンの地下鉄に“初めて”日本メーカーが製造した車両が導入された。

 ワシントン空港公団ジャックポーターCEO 「川崎重工は、日本での大きな津波を乗り越えて、我々に列車を提供してくれました」

 受注総額は1000億円以上にのぼる。また、ニューヨークの地下鉄では3分の1を超える車両が川崎重工製だ。

 川崎重工車両カンパニー・岩崎企画本部長「川崎重工の強みは、品質、技術力、車両の信頼性です。信頼性というのは車両が故障しないということです」

 こうした日本の車両の多くは現地アメリカで製造されている。ネブラスカ州にある巨大な工場では、約500人の従業員のうち、日本人はわずか10人しかない。

 川崎重工・リンカーン工場 中澤副社長「ネブラスカ州は、旅客用の電車は走っていません」

 ほとんどの従業員が“電車に乗ったことがない”という工場で製造される車両。1日は、アメリカ版の「ラジオ体操」からはじまる。部品の多くは現地調達だが、高い品質を維持するため、根幹となるパーツは日本から輸送されて造られる。見た目を美しくする細かな作業から検査に至るまで日本人の厳しい目が光っている。大雨を再現し、車内に水が入らないかを確認するための機械もあり、出荷までに少なくとも4回検査を繰り返すという。

 中澤副社長「アフターサービスも含めて、すべてお客様の立場に立って、品質を作り込んでいくというところが、我々の強みであり、伝統だと思います。それがアメリカで受け入れられていると思う」

 この地下鉄車両などでの実績をカリフォルニア州の高速鉄道の受注につなげたい川崎重工。訪米した安倍首相とともに、最高速度350キロの新型車両を売り込んだ。日本政府が成長戦略のひとつに掲げる“インフラの輸出”。その試金石とも言える高速鉄道の受注に向け、各国との激しい競争が続いている。