米連邦最高裁「中絶の権利」覆す判断 各地で抗議デモも…波紋広がる
アメリカの連邦最高裁が、人工妊娠中絶の権利を認めた49年前の判決を覆す判断を下したことを受け、各地で抗議デモが起きるなど波紋が広がっています。
連邦最高裁は24日、「憲法は中絶の権利を与えていない」として、人工妊娠中絶の権利を認めた1973年の判決を覆す判断を下しました。
今後、全米のおよそ半数の州で、中絶を禁止したり制限する動きが加速する見通しです。
今回の判断を受け、最高裁前では、中絶擁護派と反対派が言い争う場面も見られました。
中絶擁護派「アメリカは変わってしまった。これは女性に対する攻撃。不安しかありません」
ニューヨーク州の知事は「暗黒時代に逆戻りした」などと今回の判断を非難し、中絶措置を受ける権利を守っていくと訴えました。
また西部カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州でも中絶を受けたい人や中絶措置を行う医療従事者を保護すると3州合同で声明を出しました。
一方、南部アーカンソー州の保健当局は医療機関に対し、原則、中絶を行った場合、最大10年の禁錮刑もしくは最大10万ドルの罰金を科すと通知するなどしています。
バイデン大統領は緊急演説を行い、「最高裁による悲劇的な過ちだ」などと訴えましたが、今回の判断を受け、アメリカ社会の分断は今後いっそう深まりそうです。