政権交代は…新規感染”最多更新”の中、韓国大統領選で投開票
9日、投開票が行われる韓国の大統領選挙は、5年ぶりの政権交代となるのか、それとも与党政権の継続となるのか、ギリギリの接戦が続いています。過去最多の新型コロナウイルス感染者数が発表される中での選挙戦です。両候補の主張とは。そして日本への影響は…。
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投票は9日午前6時から始まり、ソウル市内の投票所にも続々と有権者が訪れていました。投票所では有権者が検温したり、手袋を着用したりするなどの感染対策も行われていました。
韓国では、新型コロナの感染が急拡大。9日、韓国保健当局により発表された新規感染者数は34万人以上と、過去最多を更新しています。まさに感染のピークのさなかでの選挙は、与党の李在明候補と最大野党の尹錫悦候補による事実上の一騎打ちとなっています。
与党「共に民主党」 李在明候補
「我が偉大な国民の賢明な選択を私は信じます」
最大野党「国民の力」 尹錫悦候補
「今回もう一度、与党に国政を任せるとこの国は滅びます」
ただ今回の選挙戦は、李候補には息子の賭博疑惑、尹候補には妻の経歴詐称問題など、両候補とも家族の疑惑が取りざたされる事態になっています。投票前、最後の世論調査では、両候補の支持率は、野党尹錫悦候補39%、与党李在明候補38%と、わずか1ポイント差。結果は最後までわからない接戦が続いています。
9日、投票を終えた有権者は――
与党・李在明候補に投票した有権者
「経済的にうまく(韓国を)導いてくれそう」
野党・尹錫悦候補に投票した有権者
「まずは政権交代が必要という気持ちで投票しました」
事前投票を合わせた9日午後6時時点の投票率は75.7%。前回の同時間の投票率を3ポイント上回るなど関心の高さがうかがえます。
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リードする野党の尹候補は、両親とも大学教授の家庭で育ちました。
司法試験には9回目で合格し検察官に。保守系の朴槿恵前大統領の贈収賄事件などの捜査も担当し、革新系の文在寅大統領から検察トップの検事総長に抜擢されました。しかし、検察改革をめぐる文政権との対立の末に、去年3月、検事総長を辞任。
野党・尹錫悦候補
「もう私たちは、腐敗し無能な勢力の政権延長と、 国民略奪を防がなければならない」
出馬会見では文政権を痛烈に批判し、政権交代を目指すと訴えてきました。日韓の問題については、歴史問題、安全保障、経済懸案などの一括解決を模索する考えを示しています。先月のテレビ討論では、就任後、会談したい首脳の順序について――
野党・尹錫悦候補
「まずアメリカ大統領、次に日本の首相、そして中国の習近平主席、(北朝鮮の)金正恩総書記、順序を決めるならそうします」
日韓、米韓の関係回復を優先させる考えを示しました。
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一方、追い上げる与党の李在明候補は、南東部の農家で、7人きょうだいの5番目として生まれました。中学校に通うこともできず、工場を転々としながら労働。プレス機に左手を挟まれ、腕が変形する事故に見舞われました。
大学検定試験を受け、ソウル市内の大学の法学部に進学。人権派弁護士から政治家になる経歴は、文在寅大統領とも重なります。
京畿道知事などを歴任し、実行力をアピール。日本との関係でも“実用主義”を標榜しています。
与党・李在明候補
「国家対国家の関係、日本国民と韓国国民の関係は、対立する理由はありません」
しかし――
与党・李在明候補
「日本を追い越し、先進国に追いつき、世界をリードする韓国を作ります」
「日本は完全なる友好国家、常に信じられる友好国家なのか」
もともと日本に厳しい発言が目立ち“対日強硬”とされてきた李候補。自身は「1つの側面だけ見た誤解だ」と主張しますが、選挙戦のさなかにも日本への厳しい認識が見え隠れしていました。
韓国の次のリーダーは誰になるのでしょうか。投票は午後7時半に締め切られ、9日夜にも大勢が判明します。