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2016年台湾総統選 政権交代確実な情勢

2016年1月1日 23:29

 台湾では、4年に一度の総統選挙が2016年1月16日に行われる。


【政権交代は確実な情勢】
 現在、与党の国民党からは朱立倫主席、最大野党の民進党からは女性の蔡英文主席、親民党から宋楚瑜主席が立候補。地元メディアの世論調査などでは、民進党の圧倒的優位が伝えられていて、政権交代が確実な情勢だ。


【対中政策への審判】
 今回の選挙は、現在の馬英九政権が進めてきた対中国政策に対する審判ともされている。馬英九政権の7年半は、中国との融和を目標とした政策を次々と発表。中国人の台湾入境の規制緩和などを積極的に行い、経済的な中国依存が進んだ。

 しかし、中国に対する融和政策によって潤ったのは一部の企業のみだった。政権発足当時に目標としたGDP(=国内総生産)の成長率や失業率の改善は、いずれも目標には届かなかった。実利が伴わない形で中国に近づく政権運営は次第に、若者を中心に「このまま台湾が中国に統一されるのでは」などの懸念を強めていった。

 そして、不満が爆発したのが2014年3月。中国とのサービス貿易協定をめぐり、政権が審議を強引に進めようとしたことに学生らが反発。議会にあたる立法院の議事堂を1か月にわたって占拠する異常事態となり、同年11月の統一地方選挙の国民党惨敗へとつながった。


【与党・国民党は厳しい戦い】
 国民党は、今回の総統選挙でも直前で公認候補者が入れ替わるなど党内での調整がうまくいっておらず、2015年11月に急きょ実現した分断後初となる中国との首脳会談も世論調査の結果を好転させるには至っていない。現状、厳しい戦いが続いている情勢だ。


【蔡英文候補 対中政策は…】
 選挙戦を優位に進めるのが民進党の蔡候補で、初めての女性総統誕生に向けて足場を固めている。元々、独立志向の強い政党だけに、政権を取った際の対中国政策について注目が集まっているが、当面は「独立でも統一でもない現状維持」の立場を取ると表明している。

 中台首脳会談が開かれた際も「もし、中国側からの求めがあった場合、会談に応じなくはない」とするなど、対中国政策において現政権とは逆となる強硬路線は取らない姿勢を見せている。

 一方で、選挙戦では、対中国政策についてあえて積極的な発信をしていない印象もあり、中国政策での失言で票を失うことを防ぎたい考えもあるとみられている。


【立法院選挙でどこまで躍進?】
 総統選は事実上、朱候補と蔡候補との一騎打ちの情勢だが、世論調査の結果からも総統選挙での政権交代は確実な状況で、台湾内では、あわせて行われる立法院選挙で民進党がどこまで躍進するのかに注目が移っているとも言われている。