“巨額”不動産投資のゆがみ 中国リゾート開発の光と影
北京冬季オリンピック開会式が4日に行われる中国は、世界2位の経済大国となった一方、行き過ぎた投資を巡るゆがみなど多くの課題を抱えています。経営危機に陥っている不動産大手・恒大集団による巨大リゾート開発現場で、その光と影を取材しました。
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中国を代表する世界遺産・万里の長城で3日、2日目の聖火リレーが行われました。冬季オリンピックの成功に自信を見せる中国。アメリカに次いで世界2位の経済大国となり、人々は豊かさを追い求めています。
温暖な気候で「中国のハワイ」と言われる海南島は、中国屈指のリゾートです。そこには、中国の不動産大手・恒大集団が約3兆円を投じた海上の巨大リゾート都市がありました。砂浜や街並み、お城のようなホテルも全て恒大集団が開発した人工島の上に建っています。上空から見ると、花の形をしていることから「海花島」と名付けられています。
「世界が憧れる旅行の聖地」を目指し、東京ドーム170個分の広さにマンションやホテル、劇場、遊園地などを次々と建設し、既に大部分が営業しています。
しかし、その島の一角には、異様な光景が広がっていました。そこには、建築中とみられる高層ビル数十棟が密集していました。"廃虚"のような状態で放置されたビルの数は39棟で、全て恒大集団の所有です。
「世界各地の街並みを再現した」というショッピングエリアを訪れると、オープンから1年で撤退する店が相次いでいました。
観光客
「ここは成功とは言えないね。投資に対して客が少なすぎる」
観光客
「開発自体はいいが、残念なのは観光客が少ないことだ」
この他、この他、島に立ち並ぶ高層マンションにも異変が起きていました。マンションが販売された当初、「世界一豪華な人工島」ともてはやされ、「販売初日だけで契約総額は2000億円に達した」と恒大集団はアピールしていました。
しかし、2021年、恒大集団の経営危機をはじめ、不動産バブルの崩壊がささやかれるようになり、「状況が一変した」と不動産会社は話します。
不動産会社
「不動産価格は30%も下がった。『去年はどんな部屋でも売れる』と言われてきたのに今年はダメだ。最近は客がいない。たくさんの不動産会社が倒産したよ」
貧富の差をなくし、共に豊かになる“共同富裕”を掲げる習近平政権が、過熱する不動産投資の規制に乗りだしたのです。海花島をめぐっては、中国の環境保護団体が「違法な埋め立てによって、広大なサンゴ礁を破壊した」と指摘。責任の追及に動き出しています。
無計画な開発と投資が繰り返されてきた不動産バブルのひずみが今、表に現れてきています。