「反米の象徴」の死…悲しみ包まれるハバナ
キューバで約半世紀にわたり「反米の象徴」として長期政権を率いてきたフィデル・カストロ前国家評議会議長が死去して1日、NNNのカメラが現地に入った。首都ハバナから平本典昭記者が伝える。
地元紙はカストロ前議長がゲリラ活動をしていた若い頃の写真を掲載し、普段は赤い文字のタイトルは追悼の意味が込められ黒い文字になっている。ハバナは27日朝から喪に服していて、夜は早めに閉めるレストランもあるという。
25日に90歳で死去したカストロ前議長の遺体は本人の希望で火葬される。地元紙によると、29日に中心部の革命広場で追悼式典が行われた後、遺灰は国内各地をまわり、来月4日、キューバ革命「始まりの地」サンティアゴ・デ・クーバの墓地に埋葬される予定。
(市民)
--彼は偉大な人でしたから死を受け入れるのがつらいです。
--街を歩いても静かで人の顔も悲しんでいるようでした。
ハバナの街では普段、サルサ音楽なども響くが、27日は喪に服していることから演奏も少なく、街中の人通りもまばらで国全体が「静かな悲しみに包まれている」という印象。一方で若者などからは「キューバは新たな時代をすでに歩んでいる」など、死を冷静に受け止める声も聞こえてくる。
キューバはアメリカと半世紀以上にわたる敵対関係の後、去年、国交を回復、オバマ大統領は「この人物が世界に与えた影響は歴史が判断するだろう」と声明で哀悼の意を示している。それから1年あまり、革命の「カリスマ的指導者」が死去し、歴史的転換点を迎えている。