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【時系列でわかる②】イスラエルと「ハマス」武力衝突(12日~15日まで)

2023年10月14日 6:00
【時系列でわかる②】イスラエルと「ハマス」武力衝突(12日~15日まで)

10月7日、中東パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」が、イスラエルに向けてロケット弾などによる激しい攻撃を開始。イスラエル側も反撃し、武力衝突が激化しています。

武力衝突をめぐる動きを、時系列でまとめます。

■日本時間10月12日 ネタニヤフ首相「ハマスは壊滅させる」

イスラエルを訪問しているブリンケン国務長官は12日にネタニヤフ首相と会談し、封鎖されているガザ地区の民間人が退避するための「人道回廊」について協議したということです。ブリンケン長官は「我々は常にあなたの側にいる」と述べ、イスラエルへの支持を強調しました。ネタニヤフ首相は支援に感謝すると共に、イスラム組織ハマスは、過激派組織「イスラム国」同様に「壊滅するだろう」と訴えました。

ブリンケン国務長官は、ヨルダンやエジプトなど周辺国を歴訪し、人道回廊の設置や人質の解放、紛争の拡大防止について働きかけていくとしています。

一方、国防総省は、オースティン国防長官が13日にイスラエルを訪問することを発表しました。

■10月12日 WFP「ガザの食料や水の供給量は非常に危険なレベル」

WFP・世界食糧計画は12日、「ガザの食料や水の供給量は非常に危険なレベルにまで下がっている」として、早急な支援が必要だと訴えました。赤十字国際委員会も「病院の発電機の燃料が尽きようとしている」と説明しています。

また、国際人権団体はイスラエル軍が、ガザなどへの攻撃に燃え広がりやすく消火が困難な白リン弾を使っている事が映像からうかがえるとして使用をやめるよう求めています。

■日本時間10月13日 ガザへの空爆続く 双方の死者2600人超に

イスラエル軍は、12日もガザに対する空爆を続け、イスラエル領内に侵入したハマスの特殊部隊の拠点などを攻撃しました。これまでにガザでは、1537人が死亡した一方、イスラエル側の死者も1200人にのぼっています。イスラエルでは、挙国一致内閣が発足するなどガザへの地上侵攻に向けた準備が進められていて、民間人の被害が拡大する恐れが出ています。

■日本時間10月13日午前 邦人退避のためチャーター機を手配

松野官房長官は、記者会見で「邦人の出国を支援し安全確保に万全を期す観点から、10月14日に(イスラエルの)テルアビブを出発する(UAE=アラブ首長国連邦の)ドバイ行きのチャーター機を手配することにした」と表明しました。

自衛隊機の派遣については「状況の推移を見極めながら邦人の安全確保に万全を期すべく適切に対応する」と述べました。

■日本時間10月13日午後 ガザ住民らに24時間以内の移動勧告

ロイター通信によりますと、国連はガザに住むパレスチナ人約110万人について、24時間以内に南部に移動すべきとの通告を、イスラエルから受けたことを明らかにしました。

この通告の目的は明らかにされていませんが、イスラエル軍がガザへの地上侵攻の準備を進める中、緊張が一層高まっています。

国連報道官は声明で、「さらなる悲劇を回避するため、指示の取り消しを強く求める」としています。

国連の報道官によりますと、イスラエル軍による指示は、すべての国連職員と、学校、保健センター、診療所などの国連施設に避難している人々にも適用されるということです。

イスラエル軍がガザ周辺に部隊を集結させ、地上侵攻に向けた準備を進める一方、民間人を退避させるための人道回廊設置に向けての協議も関係国の間で行われていますが、実現のメドはたっていません。

■日本時間10月13日午後 イスラエル軍「数日以内にガザで重要な作戦」

ロイター通信によりますとイスラエル軍は「数日以内にガザで重要な作戦を行う」とした上でガザの住民は直ちに退避するよう警告しました。また「イスラエル軍が次の許可を出すまで住民はガザに戻ることはできない」としています。

国連もガザの住民約110万人について24時間以内に南部に移動すべきとの通告をイスラエルから受けたことを明らかにしています。近くイスラエル軍によるガザへの地上侵攻が始まるとみられます。

一方、関係国の間では民間人を退避させるための人道回廊設置に向けての協議も行われていますが実現のメドはたっていません。イスラエル軍が地上侵攻に踏み切った場合多くの住民が戦闘の巻き添えになることが懸念されます。

■10月13日 北京のイスラエル大使館員が襲撃される

イスラエルのメディアによりますと、北京のイスラエルの大使館員が何者かに襲われ、病院に運ばれました。容体は安定しているということです。

襲撃が起きたのは大使館内ではなく別の場所で、現在、背後関係など詳しい状況について調べているということです。

事件があったとみられる現場はイスラエル大使館からおよそ1キロ離れた場所で、記者がおとずれると、当局者とみられる人物らがすぐに立ち去るよう命じてきました。

13日はイスラム教の金曜礼拝が行われ世界各地で警戒が強まっていました。

■日本時間10月13日夜 双方の死者が2800人超に

パレスチナ保健省によると、ガザ地区の死者はこれまでに1537人に上っています。またイスラエル軍によると、ハマスによる襲撃やロケット弾攻撃などによるイスラエル側の死者は1300人に上っています。

■10月13日 レバノンのビデオグラファー取材中に死亡

ロイター通信の取材班が13日、レバノン南部でイスラエル国境付近を撮影していた映像には、突然、大きな爆発音がし、辺りが煙に包まれる様子が映されています。

ロイター通信は、当時、国境付近の映像を中継していたビデオグラファーのイッサム・アブダラさんが死亡したと発表しました。また、他にジャーナリスト2人がケガをしたとしています。AP通信は「イスラエル側の砲撃」が直撃し、他に4人のジャーナリストもケガをしたと伝えています。

この辺りではレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」が8日以降、イスラエル軍と散発的な戦闘を繰り返しています。

イスラエルとパレスチナ自治区のガザの情勢が緊迫化する中、ニューヨークの国連本部では13日、安全保障理事会の非公開会合が開かれ、ロシアが理事国に、人道的支援のために人質の解放や停戦を呼びかける決議案を提示しました。

近く採決を目指すとしていますが、採択には15か国中、9か国の賛成が必要です。

■日本時間10月14日朝 衝突から1週間で双方の死者が3200人超に

イスラエル軍とイスラム組織「ハマス」の武力衝突は、14日で1週間を迎え、双方の死者はあわせて3200人を超えました。ハマスはイスラエル軍の空爆により、人質13人が死亡したとしています。

こうした中イスラエル軍は、「数日以内にガザで重要な作戦を行う」と発表し、ハマスが実効支配するパレスチナ自治区のガザ北部の住民、およそ110万人に対し、24時間以内に南部に退避するよう警告しました。日本時間の14日午前、期限を迎えるとみられ、近く大規模な地上侵攻に踏み切る可能性が高まっています。

また、ロイター通信などによりますと、イスラエル軍は13日、ガザ内で歩兵と戦車による地上攻撃を行ったと明らかにしたということです。今回の武力衝突で、地上攻撃の実施が明らかになるのは初めてです。イスラエル軍が今後、本格的な地上侵攻に踏み切った場合、多くの住民が戦闘の巻き添えになり、犠牲者が大幅に増えることが懸念されます。

一方、アメリカのブリンケン国務長官は、ガザから民間人が避難できる人道回廊の設置に向け、中東諸国と協議しています。ブリンケン長官は13日、「住民が危険から逃れ、食料や医薬品、水などの支援を受けられるようにする」と述べ、国際機関と協力して、ガザに安全地帯を設けることに取り組んでいると強調しました。

■10月13日 NYでパレスチナ系“大規模抗議集会”

ニューヨーク・マンハッタンで13日、イスラエルによるガザ地区への攻撃に対し、パレスチナ系の人々による大規模な抗議集会が行われました。

集会の最中には、イスラエル系の人々との小競り合いも発生し、市当局によると少なくとも2人が逮捕されたということです。

一方、ユダヤ教の礼拝所では、安息日の礼拝が行われ、イスラエル系住民 数百人が祈りのために集まりました。

ニューヨーク市当局は抗議活動や衝突を警戒して、礼拝所や繁華街など人が多く集まる場所の警備を強化しています。

■10月14日 自衛隊機が出発 邦人退避に備え

イスラエルに滞在する日本人などの退避に備え、自衛隊機がアフリカ東部のジブチに向かいました。

木原防衛大臣は13日、イスラエルに滞在する日本人などを輸送する必要が生じた場合に迅速に対応できるよう、周辺国であり自衛隊拠点のあるジブチに輸送機を移動させ、現地で待機するよう命じました。

これを受け編成された日本人などの輸送のための部隊は14日朝、愛知県の航空自衛隊小牧基地などから、ジブチに向かいました。

政府はイスラエルのテルアビブを14日にたち、UAE=アラブ首長国連邦のドバイに向かうチャーター機も手配しており、関係各国と緊密に連携しながら日本人の退避と安全確保に万全を期す考えです。

■10月13日 メタ 79万5000件超の規約違反の投稿を警告や削除

フェイスブックを運営するアメリカのIT大手メタは13日、パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」によるイスラエルへの攻撃後、79万5000件を超える規約違反の投稿を削除するなどしたと発表しました。

メタの発表によりますと、パレスチナ自治区のイスラム組織「ハマス」がイスラエルへの攻撃を行った今月7日から3日間で、ヘブライ語やアラビア語での暴力やヘイトスピーチに関する規約違反の投稿が、2か月前に比べて7倍に増えているということです。

専門の監視チームを設置し対応にあたっていて、79万5000件を超える投稿について、削除や警告を行ったとしています。

またハマスがイスラエル人などを拘束し、人質にとっていることから、安全のため、人質の身元の特定につながる投稿を削除しているということです。

偽情報の拡散防止については、報道機関など第三者による投稿への評価を確認しながら実施していくとしています。

■10月14日 イスラエル軍「現地14日午後4時まで危害加えない」

イスラエル軍はガザ地区の住民に対し、避難経路を示した上で、現地時間の14日午後4時(日本時間午後10時)まで危害を加えないと発表しました。

今回の武力衝突によりイスラエル側で少なくとも1300人が死亡、パレスチナ側では、ガザ地区で2215人が死亡したということで、双方の死者はあわせて3500人を超えています。

■10月14日 イスラエル軍「広範な攻撃計画を準備」

イスラエル軍は14日、「陸、海、空からの複合的な攻撃を含む広範な攻撃計画の準備を進めている」と発表しました。「重要な地上作戦に重点を置き、次の段階に備え準備態勢を強化している」としていて、パレスチナ自治区ガザへの地上侵攻にいつ踏み切るのか、緊迫した状況が続いています。

イスラエル軍はガザ北部の住民に対し、南部へ退避するよう警告し、日本時間の14日午後10時までは危害を加えないと発表していました。

パレスチナを支援する国連機関によりますと、この12時間で数十万人が避難したということです。

イスラエル軍とイスラム組織「ハマス」の武力衝突はこれまでに、イスラエル側で少なくとも1300人が死亡、パレスチナ側ではガザ地区で2215人が死亡し、双方の死者はあわせて3500人以上にのぼっています。

ロイター通信などによりますと、ハマスはイスラエル軍の空爆により、これまでに人質22人が死亡したと主張。一方、イスラエル軍はハマスに拉致されたイスラエル人の遺体がガザ近郊で発見されたと明らかにしました。

■10月14日 テルアビブで被害者家族によるデモ

イスラエルではイスラム組織ハマスによって多くの民間人が連れ去られました。パレスチナ自治区ガザへの地上侵攻が迫る中、被害者の家族らが一刻も早い救出を訴えています。

テルアビブ市内では14日、被害者の家族らによる抗議デモが行われました。

娘が人質の女性「娘がどこにいるかも、ハマスが娘に何をしているかも、分からない。人質が全員帰ることだけを願っています。娘を取り戻したいんです」

その後、被害者の家族が会見を行い、イスラエル軍が地上侵攻に踏み切れば人質が死ぬことになるとして、一刻も早い救出を訴えました。

親族6人を連れ去られた女性「人質を取り戻さなければいけない。 生きたまま帰ってこなければいけない。できる限りのことをしますが、世界の助けが必要です」

また、人道回廊のすみやかな設置や、生活物資や医薬品などの人道支援を訴えました。

■10月14日 米空母「アイゼンハワー」東地中海へ

アメリカ軍は空母「アイゼンハワー」を東地中海に移動させ、すでに配備している空母「ジェラルド・フォード」と合流させると発表しました。イランやレバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」が戦闘に参加しないよう抑止する狙いがあります。

また、バイデン大統領は14日イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、イスラエルへの支持を改めて表明し、「民間人の保護に向けあらゆる努力をする」ことなどを確認しました。

バイデン大統領はパレスチナ自治政府のアッバス議長とも電話会談し、「ハマスはパレスチナ人の尊厳と 自決権を守る立場にない」と強調しました。

また米中の外相が電話会談し、王毅外相は国際会議をすみやかに開くよう提案しました。一方、アメリカ国務省によりますと、他の勢力の紛争介入を防ぐことも協議したということで、イランに介入させないよう、関係が深い中国にも対応を求めたとみられます。

■10月15日 国境なき医師団の日本人スタッフ3人が退避求める

イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻が迫る中、国境なき医師団は15日、ガザの日本人スタッフ3人が南部に避難し国外退避を求めていると明らかにしました。

国境なき医師団によりますと、北部ガザ市で活動していた日本人3人を含む外国人スタッフ20数人が、イスラエル軍による24時間以内の退避警告を受けて13日、南部に避難したということです。

日本人職員は、南部ハンユニスにある国連施設に避難しているとみられ、国外への退避を求めているということです。

また、この国連施設にいる現地の広報担当者は音声メッセージを公開し、「およそ1万人が施設に避難してきている」「人びとは階段や廊下、食堂など、いたるところにマットレスや毛布を敷いて寝ている」として、南部の国連施設に避難者が殺到している状況を明かしています。