米との首脳会談で中国が得たものは? 台湾問題めぐる発言の意図…北京支局長に聞く
アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席が15日、首脳会談を行い、焦点となっていた軍同士のハイレベル対話などを再開することで合意しました。中国・北京支局の富田支局長に聞きます。
――合意した内容を見ると、アメリカが中国に求めてきた点ばかり実現したように見えますが、今回中国は何を得たと言えるのでしょうか?
中国にとっては、薬物対策や軍同士の協力は枝葉の話だったようで、中国側の発表でも最後に少し触れられているだけです。
一方、中国が会談で最も大事だったとしているのは、習氏がアメリカに中国との「正しい付き合い方」を提案したという点です。それは、「ライバルよりパートナーになるべきだ」と強調したという点なんですね。
ウクライナ侵攻やガザ紛争が起きる前、中国はハイテクの輸出規制などアメリカの圧力をまともに食らい続けてきました。紛争続きでアメリカに余裕がなくなってきた今こそ、対中政策を変えさせたい狙いがあります。
もう一つは、国内向けのアピールです。中国メディアは15日、16日と習氏の訪米を集中的に報じています。中国としては、習氏がアメリカにお願いされて出向いた形を見せるよう注文をつけたとみられます。
――アメリカ側によると、習主席は「台湾に大規模侵攻する準備はしていない」と述べたということですが、その意図とは?
少し踏み込んだように聞こえますが、中国にとっては当たり前のことを言ってるだけです。現時点で、まだアメリカ軍に勝てるとは思っていないはずだからです。
ただ、アメリカと台湾を挟んで緊張を高めるのは得策じゃないとして、あえて発言した可能性があります。ただ、国内向けには強いポーズを示す必要があるので、中国メディアはこの発言、一切触れていません。