中国初“輸入博”市場開放アピールの狙いは
今週、中国で、初めてとなる大規模な輸入博覧会が開かれている。アメリカが保護主義的な政策を進める中、市場開放をアピールする中国の狙いとは?
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中国が各国政府や企業に参加を呼びかけた国家イベント「中国国際輸入博覧会」が、今年、初めて開催された。ヨーロッパ企業の近未来の技術に、来場者が足を止める。ほかにも、自動運転に利用されているAI(=人工知能)の技術のデモンストレーションや、正確な作業ができるロボットなど、注目の商品が並ぶ。
この輸入博覧会には世界172の国と地域から約3600社が参加し、中国のバイヤーに商品を売り込む機会を提供する。買い付けに来たバイヤーは、中国内外から40万人以上にのぼるという。
中国人バイヤー「こうしたハイテク技術で、私たちの業績を伸ばせるかもしれない」
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開幕式で、習近平国家主席は自ら、市場開放への取り組みを訴えた。
中国・習近平国家主席「(輸入博覧会は)中国が自ら市場を世界に開放する重要な場だ。各国は開放的な政策をとるべきで、保護主義や一国主義に対し、はっきりと反対するべきだ」
習主席は、関税引き上げなど保護主義的な政策を進めるアメリカをけん制。
中国では、アメリカとの貿易問題が長期化するとの見通しから、上海株式市場の株価が特に今年5月以降、下がり続けている。このため、中国は、アメリカ以外の国との貿易で最先端の技術や商品を積極的に輸入することで、アメリカとの差別化を図ろうとしている。
さらに、これらの輸入によって中国国内の産業をレベルアップさせ、閉塞(へいそく)感を打ち破る必要性もあるとみられる。
開幕式での演説で、習主席は、今後15年間で4500兆円以上もの商品やサービスを輸入する見通しを示した。
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実際に中国では、高級スーパーなどで輸入品が人気を集めている。店には、タイのドリアンや日本のリンゴなど、中国産よりも数倍する高価な食材が並ぶ。
中国の消費者「確かに高いけど、有害なものはないでしょう。オーガニック商品はよく買います。上海市民は健康を非常に重視しています。量よりも質が良いものを食べたいです」
民間会社の調査では、北京や上海では、今年、平均月収が16万円を超え、市民の購買力がこれまで以上に高まっている。
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今回の輸入博覧会には、日本から国別で最多の430社以上が参加。特に中国では日本の「食」への評価が高く、多くのバイヤーが集まっていた。
中国人バイヤー「非常にもちもちして食感が良いです。少し甘味もあって、とてもおいしいです」
日本の会社『農樹』では、中国でブランドを高めれば、価格が高くても中国の富裕層を中心に受け入れられると考えている。
『農樹』中津隈一樹さん「これほど日本と近い場所に、これだけの人口と国土、米を食べる文化がある人が多くいる。絶対、狙わない手はない」
13億人の購買力に大きな期待がかかる中国。さらなる市場開放を約束した習主席の言葉が、確実に実現されるのか。中国市場を目指す多くの企業が見つめている。