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“泳ぐ宝石”錦鯉の輸出に異変――人気も「中国向け」ストップなぜ? 現場は困惑…「とにかく“原因”が知りたい」

2023年11月11日 12:15
“泳ぐ宝石”錦鯉の輸出に異変――人気も「中国向け」ストップなぜ? 現場は困惑…「とにかく“原因”が知りたい」

“泳ぐ宝石”とも呼ばれる日本の錦鯉(にしきごい)。外国人のバイヤーがこぞって買い求めるなど高い人気を誇り、増加する輸出額は63億円に達します。ただ、輸出の約2割を占めるという中国向けが事実上ストップ。何が起きているのか、現場で取材しました。

■オークションに多くの外国人バイヤー

東京・中央区にある、築地からほど近い料亭。色とりどりの錦鯉(にしきごい)が優雅に泳いでいます。食事とともに楽しめるようにと、席から見渡せる庭園の池には、約150匹の錦鯉がいます。

“泳ぐ宝石”とも称される錦鯉は近年、海外からも注目されています。福岡・久留米市で行われた錦鯉のオークションには、多くの外国人バイヤーの姿がありました。

「90万! 100万! 130万円が55番!」。威勢の良い言葉が上がりました。ある金色の錦鯉は130万円もの値段で取引され、「これはもうかりますように」とその場にいた関係者が手拍子を打ちました。

ベルギーから来た鯉のバイヤーは「6匹くらい買った。合わせて200万円くらいだ」と言いました。

■養殖場「10月で輸出できなくなった」

錦鯉の輸出額はこの10年で2倍以上に伸び、約63億円になっています。その約2割が中国への輸出だといいますが、ある問題が今起きています。

宮下農水相
「(中国への)輸出が停止していると認識しております」

宮下農水相は会見で、記者の質問に対してこう認めました。錦鯉の養殖場の社長は「10月いっぱいで輸出できなくなったということで、みんな今後どうなるんだろうかと心配しているみたいですね」と言います。

複数の錦鯉業者によると、中国への錦鯉輸出には、中国側が許可するライセンスが必要です。しかしその申請や更新を、中国側が2年ほど前から許可しなくなったことで、ライセンスが失効。輸出が事実上できなくなったといいます。

■北京の販売業者「しばらく影響しない」

何が起きているのでしょうか。中国・北京にある錦鯉の販売業者を訪ねました。錦鯉というのぼり旗が、あちらこちらに並んでいます。錦鯉は「幸運を運んでくれる象徴」として、中国で人気だといいます。

現地の販売業者
「日本の錦鯉は体形・色・質・模様がいい。(中国産と比べて)1匹あたり10倍以上、値段の差がある」

一方、記者が「日本の輸入で最近影響を受けていませんか?」と聞くと、この業者は「ないね」と答えました。日本の錦鯉は大きく育ててから販売するため、しばらくの間は影響しないとのことです。

■中国側「停止を発表していない」

中国の報道官は「中国側は日本の錦鯉の輸入一時停止に関する発表をしていない」と、停止について明言しませんでした。

錦鯉を養殖する日本の現場からは、困惑の声が上がっています。

全日本錦鯉振興会新潟地区長・伊佐光徳さん
「(ライセンス更新の)動きは日本の政府もやっていたんですけど、中国の方から返答がないというのは聞いていましたね。とにかく止まっている原因が知りたい。日本の錦鯉のファンはたくさんいるので、スムーズに送れる輸出システムを確保してもらいたいですね」

(11月10日『news zero』より)