“侵攻”長期化…「校舎の修復」間に合わない キーウ近郊では学校再開に思わぬ影響も ウクライナ
ロシアの侵攻から間もなく5か月となるウクライナ。首都キーウ近郊では学校の再開を急いでいますが、思わぬ影響が出ていました。
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東部ハルキウで、夫の遺体を前に泣き崩れる女性の姿がありました。
夫を亡くした女性
「お願い。ちょっとでいいから手を握らせて」
21日、ロシア軍の攻撃で市場が破壊され、3人がなくなりました。
一方、ウクライナの首都キーウでは、ロシア軍が近郊から撤退して3か月半がたち、町には子どもたちの姿も増えてきました。
子どもたちは元気いっぱいに遊んでいますが、話を聞くと、「空襲警報を聞いたら、どうすればよいか不安になる。早く戦争が終わって、また学校に通えるようになってほしい」と不安をのぞかせました。
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私たちが向かったのは、キーウから約35キロに位置するブゾワ村の学校です。ことし3月、首都に迫るロシア軍の激しい砲撃を受け、校舎にはいまだ、その傷痕が残っています。
校長
「クレーンを使って(がれきを)撤去する必要があるので、そのままになっています」
道路や橋などの復旧が優先されているため、校舎の修理が進まず、対面授業の再開は9月の新年度には間に合わない見込みです。
私たちが出会ったのは、この学校に通うドミトロ君。サッカー選手になることを夢見る、11歳の少年です。
ドミトロくんが駆け回っていたグラウンドにも、大きな穴が開いていました。
――砲撃の跡を見てどう思った?
ドミトロくん(11)
「心が痛みました」
生活も一変したと言います。
ドミトロくん
「去年はサッカーの練習もよくやりましたが、今はそれに比べ少なくなりました。全く会えていない友達もいます」
自宅のアパートも砲撃を受けて住めなくなり、ドミトロ君は、近くの親戚の家に身を寄せています。
ドミトロくんは「みんなと一緒に、また公園などで遊びたいです」と話しました。
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ロシア軍の激しい攻撃で多くの住民が犠牲になったキーウ近郊・ボロジャンカでは、学校が別の施設として使われています。
記者
「こちらの部屋は生物学室と書かれていますが、現在は市役所の手続きを行う部屋として使われています」
もともと市役所があった建物は、ロシア軍の攻撃で壊滅状態になったため、学校を間借りして業務を続けているのです。他にも多くの公共機関が学校を仮庁舎としていますが、学校再開を目指す政府の指示により、9月までに立ち退かなければなりません。
ボロジャンカ市長
「市内には市役所の全ての部署が入る建物がなく、別の町への移転なども検討しています」
ボロジャンカ市民からは、「不便だけど仕方ないですね」「不便でも、子どものために学校は必要です」という声が上がっています。
新年度まで1か月あまり。様々な課題を抱えながらも、学校再開に向け懸命の取り組みが続いています。